前回、以下のような問題を出しました。

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Q. 関係代名詞を使い、以下の日本語の文を英語に訳しなさい。関係代名詞が省略されるのが一般的な場合には、関係代名詞を省略せずにカッコの中に入れて表記しなさい。また、複数の関係代名詞を使うことが可能な場合には、スラッシュ(/)を使って列記しなさい。

5. 僕が先日君に買ってあげたカバンはどうなったのですか?
(ヒント:「〜はどうなったのですか」は「〜に何が起きたのですか?」と置き換えて考えると良いでしょう。)

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以下、解答です。

5. 僕が先日君に買ってあげたカバンはどうなったのですか?
→ What happened to the bag (that/which) I bought you the other day?

 

次に、解説です。

おさらいですが、日本語の文を英語に訳そうとする際、「関係代名詞」が使われると思われる場合には、以下の手順を確認すると良いでしょう。

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1. その日本語の文において、「主語+述語動詞」を含んだかたまり(形容詞節)が「名詞」を修飾していることを確認する。(ただし、「主語」が含まれず、「述語動詞だけ」で「名詞」を修飾していることもある。)

2. 「形容詞節」の部分のみを英語にしてみる。

3. 「形容詞節を除いた部分」を英語にしてみる。

4. 「3」の中にある、「形容詞節に修飾される名詞(先行詞)」がどれであるかを確認する。

5. 「2」で作られた英語表現を、「3」で作られた英文の中の「先行詞」の「後ろ」に置く。

6. 「関係代名詞」を選ぶために、「先行詞」を「人称代名詞」に置き換えてみて、それを「形容詞節」の中に入れ込み「独立した1つの文」を作る、ということを 頭の中で想定してみる。その際の人称代名詞が、「主格」「所有格」「目的格」「独立所有格」のどれになっているかを確認する。

7. 先行詞が「人」または「モノ」のどちらを表す言葉であるかを確認する。

8. 「6」と「7」が確認できたら、以下の関係代名詞の一覧表から関係代名詞を1つ選び、「5」で作られた英文の中で、「先行詞」と「形容詞節」の間に「関係代名詞」を入れる。

関係節内での働き=「主格」 関係節内での働き=「所有格」「独立所有格」 関係節内での働き=「目的格」
先行詞=「人」 who whose whom
先行詞=「人以外」 which (whose)
(of which)
which
先行詞=「人・モノの区別なし、あるいは文脈上特定されている語」 that that

9. 「6」の手順の際、「先行詞」を「人称代名詞」に置き換え、それを「形容詞節」の中に入れ込み「独立した1つの文」を作る、ということを想定した際に、その人称代名詞が、「動詞の目的語」として機能している場合には、関係代名詞そのものは「省略」されることが多い。

10. 「形容詞節によって修飾される名詞」について考えた時、会話や文脈上、それが「特定されている名詞」として解釈されるならば、その名詞の前に「the」を つける。「特定されていない名詞」として解釈されるならば、「可算名詞の単数形」の場合には「a(またはan)」をつける。あるいは、「特定されていない 名詞」として解釈され、その名詞が「可算名詞の複数形」や「不可算名詞」の場合には、その名詞の前には何もつけないか、あるいは、「漠然と、全体の一部」 であることを示したい場合にはその名詞の前に「some」をつける。
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では、1つずつ見ていきましょう。

5. 僕が先日君に買ってあげたカバンはどうなったのですか?

まず、手順1について考えてみると、この文では「僕が先日君に買ってあげた」という部分が「形容詞節」となり、「カバン」という名詞を修飾している、と解釈することができます。

これにより、手順2と3を考えてみると、形容詞節の部分が「I bought you the other day」となり、形容詞節を除いた部分が「What happened to bag?」となります。

次に手順4と5をやってみると、「What happened to bag I bought you the other day?」となります。

次 に、手順6,7、8を一気にやってみると、先行詞である「bag」を形容詞節の中に入れて見ると、「it」という人(モノ)を表す人称代名詞の「目的格」となり、「bought」という動詞の目的語であることが分かりますので、関係代名詞は「which」か「that」となりますが、手順9について考えてみると「省略されるのが普通」ということなので、ここでは問題の指示に従ってカッコの中にいれます。

次 に手順10について考えてみると、 「僕が先日君に買ってあげたカバン」というものはたくさんあるわけではなく、「1つに特定される」と考えられるので、「特定されている名詞」ということになり、「可算名詞の単数形」である「bag」の前に「the」をつけることになりま す。

これをまとめると、以下のようになるわけです。

5. 僕が先日君に買ってあげたカバンはどうなったのですか?
→ What happened to the bag (that/which) I bought you the other day?

1点だけ追加ですが、「I bought you」のところに「for」を入れて「I bought for you」としても構いません。

「人にモノを買ってあげる」というのは「buy+人+モノ」と「buy+モノ+for 人」のどちらを使っても表現することができます。

「僕が先日君に買ってあげた」の部分は、「モノ」に当たる部分が抜け落ちた表現と言えますので、「I bought you」としても良いですし、「I bought for you」としても良いのです。

 

さて、関係代名詞を使った英文を作ることに慣れてきましたでしょうか?

次回はいよいよ「前置詞」を含むような関係代名詞の表現についてご紹介します。
どうぞお楽しみに!