「世話する」は、英語では「take care of」「look after」という語で表現されます。
「take care of」については、「take」と「care」の2つの語の意味から考えていくことができます。まず「take」というのは「目の前に与えられた選択肢の中から自らの意志で手を伸ばして取る」という意味で使われる動詞です。また「care」は「自分の内側にある意識を、自分の外側にある事物に飛ばすこと」の意を表します。これをまとめると、自分の周りにたくさんの「care」の対象物があったとして、そこから1つを選んで「take」する、ということを表しているのが「take care of」ということになります。
例えば、自分の身の回りに「A」「B」「C」といった3つの事柄があったとします。それら全てに意識を向けることは難しいので、1つだけ、例えば「B」だけを選んで、それに意識を向けることにしたとします。そのような時に「I will take care of B.」のように表現するわけです。つまり「take care of 〜」というのは、言い換えるならば「〜に意識を向けるようにする」という意味になり、それがひいては「世話する」という日本語で表現されるということになります。
一方、「look after」は、文字通りに解釈すれば「〜の後ろに目をやる」ということになります。例えば、自分の目の前を歩く人がいて、その人が何かを落としたりしていないか、忘れ物をしていないか、ということに注意しながら目を向けておく、という喩えから「〜を世話する」という意味に派生したものと考えられます。
つまり「take care of」の場合は「複数の選択肢の中から1つを選び、それに自分の意識を向ける→気にかける→世話する」という意味であり、「look after」の場合は「何者かの後を追いかけながら、その後ろに目を向ける→世話する」という意味だと言えます。
一般に、「take care of」よりも「look after」の方が「弱者」や「困っている人」を対象として「直接的に世話する」という場合に使われる傾向があります。例えば、家族が病気になった時に「看病する」という意味の場合は「I will look after him.」のように表現されます。
一方、「take care of」の場合は、対象となるものとの距離があるようなイメージで「間接的に世話する」の意となります。従って、家族が病気になった時に「I will take care of him.」と行ってしまうと、自分で世話するのではなく、「入院のための病院を探す」のような意味に受け取られてしまう可能性があります。
まとめると、「take care of」と「look after」はどちらも「世話する」という意味になりますが、「take care of」は「間接的に、時には冷静な態度で世話する」という意味合いが含まれ、「look after」は「直接的にかつ献身的に世話する」という意味合いが含まれる、ということになります。