「人」「人々」は、英語では「person」「people」「man」「mankind」「human」「humankind」「human being」のように表現されます。
さらには、「they」「you」「we」などの代名詞や、「someone」「somebody」「everyone」「everybody」といった言葉も「人」の意味で使われることがあります。
まずは「person」と「people」を見比べてみましょう。
「person」は、「人物」という日本語のイメージが近いと言えます。「人柄」や「性格」などを持った「一人の人物」という意味合いで「人」と言う場合に「person」という言葉が使われます。
例1: He is a very nice person.
「彼はとても素敵な人物だ。」
(「個人の人格」について述べているので「person」が使われている。)
「people」は、「まとまった人の集団」のイメージで「人」という場合に使われる言葉です。一人一人が人格を持っている、というよりは、複数の人が集まっている様子を頭に浮かべながら「人」という場合に「people」が使われます。
例2: There were a lot of people at the concert hall.
「そのコンサートホールにはたくさんの人々がいた。」
(「人の集団」のイメージで述べられているので「people」が使われている。)
基本的には「people」という形で「複数の人々」の意味で扱われます。しかし、「国民」や「民族」といった意味の時には「peoples」というように語尾に「-s」がついて「複数形」として表現されます。
続いて、「man」「mankind」「human」「humankind」「human being」について。
これらは、一般に「人類」という意味で使われます。
「man」という言葉は、「人類」という意味でもあるのですが、「男性」という意味にもなるので、最近では「人類」という意味では「man」という言葉は避けられる傾向があります。
「mankind」は、「人(man)という種類(kind)」という意味の言葉ですが、これも「man(男性)」の意味が含まれることから、最近では使用が避けられる傾向にあります。
そこで、「man」の代わりに使われるのが「human」という言葉です。
「human」は「動物」や「植物」や「モノ」ではなく、あるいは「神」や「伝説上の動物」や「想像上の存在」などでもない、「人間である」ということを表す場合に使われる言葉です。
「human」は「(人類としての)人」という意味の名詞で、「humans」という複数形でも使われます。
さらに「human」は「形容詞」でも使われるので、「human+名詞」というように名詞を修飾し、「人の」や「人類の」という意味となります。
また、「mankind」の代わりとして「humankind」という言葉が使われます。これも「man」という言葉が性差別的であると解釈されないようにする時によく使われる言葉です。
さらに、「human being」という言葉もまた「人類」の意味で使われます。「being」というのは、「存在」という意味です。つまり「human being」というのは、他の動物や植物ではない「人間としての存在」という意味なのです。
「human being」の基本的な意味は「human」という言葉とほとんど違いがありません。強いて言うならば、「human being」の方が固い言い方に聞こえるという程度です。
ただし、上述したように「human」には形容詞としての働きがありますので、「単数」で表現したい場合には、「a human」としてしまうと、まだ後ろに名詞が続くのかどうかハッキリしないため、「a human being」というように表現した方が無難な場合があります。
例3: Do you know when humans first appeared on earth?
「君は、いつ人類が最初に地球上に現れたか知っているかい?」
(「他の生命(動物や植物)ではなく、人類」の意味で「humans」が使われている。「1人」ではなく「複数」の人間を想定して複数形になっている。「human beings」に置き換えても良い。)
例4: Don’t treat him like a dog! He is a human being!
「彼を犬のように扱うな! 彼は*人間*なんだ!」
(「動物ではなく人である」という意味で「human being」が使われている。「人間としての存在」の意であり、かつ「単数」なので「human being」が使われている。)
残りの「they」「you」「we」などの代名詞や、「someone」「somebody」「everyone」「everybody」についてはまた次回、説明します。