「今回は、「we」「you」「they」などの代名詞や、「someone」「somebody」「everyone」「everybody」といった言葉について見てみましょう。
「we」と「you」と「they」は、いずれも「人称代名詞」と呼ばれるものです。
「we」は「私たちは」という意味。
「you」は「あなた(たち)は」という意味。
「they」は「彼らは」という意味。
まあ、英語を学んでいる人には当たり前すぎますね。
ところが、英語を学んでいる人が当たり前に使っているはずのこれらの人称代名詞でも、意外に使いこなせていないこともあるようです。
普通は、「we」も「you」も「they」も、具体的な人達を指して、その人たちの「代わり」として使われます。
例えば、「私とスーザンと太郎」の3人をまとめて「we(私たち)」と表現したりします。
このように、「具体的な名前がある人達」について、その代名詞として使われるのが「we」や「you」や「they」といった言葉なのです。
ところが、「具体的な人達」ではなく、「漠然と、なんとなく一般的の人々」という意味でも「we」や「you」や「they」が使われることがあります。
「一般的な人々」や「漠然としたイメージとしての人々」という意味で「we」や「you」や「they」が使われる場合、これを英文法では「総称人称」と呼びます。
例1: We are all destined to die some day.
「私達は皆、いつかは死ぬことを運命づけられている。」
(自分を含め、世間一般の人々の意。)
例2: You cannot foresee the future.
「(人は誰も)未来を予言することはできない。」
(相手を含め、世間一般の人々の意。「あなた」ということを強調せず、「あなたもそうだけれど、人は誰でも」という意味で使われている。)
例3: They say he is from Italy.
「彼はイタリア出身であるらしい(と人々が言っている)。」
(世間一般、又は漠然とある一部の人々の意。)
このような総称人称において、「we」を使う場合は、「私(話し手)とあなた(聞き手)も含んで、みんな一緒です」というように「同調」あるいは「共感」の意味合いが含まれます。
一方、「you」が使われると、どことなく、相手への「説教」や「説得」などの意味合いが含まれるような響きとなります。「私には分かっているけれど、あなたは分かっていないようだ」という、少々批判的な言い方、あるいは大人が子供に諭(さと)すような言い方にも聞こえます。
あるいは、人に何かの「手順」などを説明する場合にも「you」が使われます。その場合は「あなただけでなく、誰がやっても同じですが」という含みが感じられます。
そして「they」が使われる場合は、「私もあなたも関係ない、どこかの一部の人達」を指しているような感じに聞こえます。
要するに、「we」は話し手自身も「当事者意識」を持っており、「you」になると「自分を除外した言い方」となり、「they」になると「さらに他人事」のように響く、ということです。
続いて、「somebody」と「someone」について。
これらは両方とも「誰か」という意味になります。
「誰か」という意味から、「人」という日本語に当てはまることがあります。
どちらも「代名詞」で、どちらも同じように使われますが、「body」は「体」の意であって、「人間」であれば誰でも良い、というイメージがあるのに対し、「one」というのは「ある人間を想定し、その代名詞」という意味合いがあるため、「someone」は誰かしら、ある人物を想定しているような場合に使われます。
例4:Somebody is at the door.
「誰かがドアのところにいる。」
(誰だか予想が全くつかず、人の気配を感じている場合。)
例5:Someone is at the door.
「誰かがドアのところにいる。」
(来客の予定があり、その誰かを想定している場合。)
このような区別は「厳密」なものではなく、多くの場合はどちらもほぼ同じように使われます。
ただし、呼びかけの際は「somebody」が一般的とされています。
例6:Somebody! Come here, quick!
「誰か! 急いで、ここへ来てくれ!」
続いて、「everybody」と「everyone」について。
「everybody」と「everyone」は、「somebody」と「someone」と同じように考えても良いのですが、実際はほとんど違いがありません。
「everybody」の方が口語ではよく使われ、「everyone」はより正式な場で使われるような印象があります。
「everybody」も「everyone」も「どの人も」という意味の言葉であり、「every」自体が「単数」を表すような言葉です。
従って、日本人の多くがこの2つの言葉を「みんな」と訳してしまいがちですが、「みんな」という「複数」のイメージというよりは、「1人1人それぞれの人」というように「単数」のイメージを強く持って捉えると良いでしょう。
ただし、「everybody」も「everyone」も、これをさらに人称代名詞に置き換える場合には、「he」や「she」といった単数形ではなく、「they」という「複数形」が使われるという点を忘れないようにしましょう。
例7: Everybody was listening to Mike at first, but they soon got tired .
「最初は*誰もが*マイクに耳を傾けていたが、彼らはすぐに飽きてしまった。」