「もう1回」は、英語では「again」「one more time」「once more」「once again」のように表現されます。

 

again」は、単に「再び」という意味で使われる言葉です。「again」の後ろにさらに「again」を使うこともできます。例えば、「again and again」という形は「何度も何度も」の意を表します。

 

one more time」は、「one time(1回)」という表現に「more」がついた表現です。「more」は「より多くの」という意味の言葉で、「many」の比較級です。「one」が「two」や「three」など複数の数詞に変われば、それに合わせて「two more times」や「three more times」のように「time(回)」という名詞が複数形に変化します。このような表現における「more」は、「これまで、何かしらの動作が1回(あるいはそれ以上の回数)行われた」という状況をほのめかした上で、「これまでの回数よりも多く」ということが表されます。そして、「more」の前に置かれた「one」や「two」といった数字が「より多くと言っても、どれくらい多く?」ということを表します。つまり、「one more time」という表現は、今まで1回(あるいはそれ以上)行われたことに対して、「さらにもう1回」と述べる場合に使われるのです。この時、「one」という言葉には、「1」という数字をしっかりと示そうという、文の発信者の意志が表されます。

 

once more」は、「one more time」の「one time」の部分を「once」に置き換えた表現です。つまり、「one more time」と「once more」は、お互いに、同じ表現の「置き換え」となっているのです。ところが、「once more」の場合は、「one more time」という表現の中にはっきりと見えていた「one(1)」という数字が見えにくくなります。言葉の置き換えという意味では「one more time」と「once more」は同じであると言えますが、「1」という数字の強調という点で言えば、「one more time」の方が強く、逆に「once more」の方が弱い、ということになります。このことから、「once more」という表現は、「one more time」よりも軽い表現として使われる傾向があります。

 

once again」は、単に「再び」の意を表す「again」の前に、「1回」の意の「once」がついた表現です。これもまた、「one」という数字が見えにくいということから、比較的軽い表現として使われます。(なお、「once again」は「one time again」に置き換えられるはずだ、と考える人もいるかもしれませんが、実際には「one time again」という表現は一般的には使われません。)

 

again」「one more time」「once more」「once again」の4つで比較すると、「again」が一番軽い表現であり、次いで「once more」と「once again」が軽く、そして「one more time」が最も重い表現となります。なお、「once more」と「once again」では、どちらもほとんど同じように使われると考えて差し支えありません。

さらに、「again」と「once again」と「once more」は、「再び、元に戻って」という意味で使われることがありますが、「one more time」はこの意味で使われることはほとんどありません。

例1: Could you say that again?「もう一度それを言って頂けますか?」
(「again」を「once more」や「once again」とすると、この文の受信者はやや「しつこいな」と感じる可能性があります。さらに「one more time」とすると、「大げさだな」と感じるかもしれません。)

例2: Finally, my life is back to normal once more.
「ようやく、私の生活は再び通常通りに戻った。」
(この文での「once more」は「再び、元に戻って」の意を表している。「once more」を「again」や「once again」に置き換えることはできるが、「one more time」に置き換えることはできない。)