英検のレベルは、以下のように分類されています。
英検5級 → 中学初級程度のレベル
英検4級 → 中学中級程度のレベル
英検3級 → 中学卒業程度のレベル
英検準2級 → 高校中級程度のレベル
英検2級 → 高校卒業程度のレベル
英検準1級 → 大学生中級程度のレベル
英検1級 → 準1級より上のレベル
最後の1級については、英検のウェブサイトを見てみても、どうも明確な基準が見当たりません。
まあ、それはさておき、英検には上記のようなレベル分けがあるのですが、英検に合格したからといって、上記のようなレベルに到達したかどうか、という点は非常に怪しいです。
例えば、「英検3級」に合格したら、本当であれば「中学卒業程度のレベル」の英語力があるのではないかと思ってしまいますが、必ずしもそうとは限りません。
なぜなら、英検は「100%」の正解率でなくても合格できてしまうからです。
3級では、およそ64%ほどが合格ラインと言われています。
英語力というものは、「単語の知識」と「文法の理解」と「発音のテクニック」の3つに分類することができます。
さらに、「英文を理解する」というインプットの能力と、「英文を作り出す」というアウトプットの能力の両方が必要です。
英検で問われるのは、一応、「4技能すべて(読む、書く、聞く、話す)」であると言われていますが、私に言わせれば、その基準の全てが曖昧です。
本当の意味で「中学卒業程度のレベル」の英語力が身についているのであれば、中学卒業までに習う「単語」を全て知っており、その全ての「スペル」が書けることはもちろん、「品詞」も区別できて、さらには「発音」も正しくでき、そして中学で習う文法を使って自在に英文を作ることができる、ということになります。
ところが、「3級に合格した」というだけの人の場合、特に「合格ラインギリギリで合格した」という人の場合は、3級レベルの英語力が100%身についているとは言えません。
「3級に合格した」と言っても、3級レベルの英文を書くことができない人はたくさんいます。
英検は、「英文をきちんと作り出す」ということができなくても「単語の意味が分かる」ということがとても重要です。
これは3級に限った話ではありません。
5級や4級などは、文法の話ももちろん重要ですが、合格のために最も重要なのは「単語の知識」です。
単語の知識さえ十分にあれば、文法や発音(リスニング)であまり点が取れなくても合格できる可能性はあります。
つまり、英検に合格するということは、そのレベルに対応する「総合的な英語力」を持っているということの証明にはならないのです。
よりハイレベルの準2級、2級、準1級なども同様です。
現に、「最近、英検2級を取得しました」と言いながら、高校卒業程度の文法を十分に理解しておらず、あろうことか中学レベルの英文すら正しく書けない、という人はたくさんいます。
「英検2級のレベルの英語力がしっかりと身についている」ということと、
「英検2級に合格した」ということは、同じことではないのです。
今も昔も、我が子の英語教育に熱心な保護者の方の中は、「英検○○級に合格させたい」と強く願う人がたくさんいるようです。
そして、実際に「うちの子は、まだ□□年生なのに英検○○級に合格した」ということを、自慢げに人に話す人もたくさんいます。
しかし、そういう話を聞く度に「なんと不毛な自慢話なんだろう」と悲しくなります。
英検というものは、地道に英語力を高めていった後で、自分の力を試す意味で受験すべきものだと私は思います。
単に「英検○○級に合格した」というだけでは真の英語力が身についた証しにはならないということを理解した上で、英語学習のモチベーションとして英検を利用するならば良いと思います。
「英検○○級に合格させたい」とか「英検○○級に合格した」といったことは、英語学習の「ほんの一部」に過ぎないのです。
英語学習者、およびその保護者の方々は、このことをよく理解した上で、「英検合格」を目指すと良いでしょう。
英検に合格したからと言って、そのレベルの英語力が身についているとは言えないのですから。