2004年に1冊目の文法書ができあがった後、本校の授業の質は格段に上がりました。
本校のレッスンでは、生徒が文法項目で分からないところがあった時には、私が文法書の該当ページを開き、「ここを読んでください」と言います。
そして、生徒は、そこを「自力」で読み、理解していきます。
世の中の一般的な学校では、教師は「黒板」や「ホワイトボード」などを使い、「口頭」で説明していくものでしょう。
しかし、本校ではそのようなやり方は極力しないようにしています。
その代わりに、私が説明したい文法項目は、全て「文法書」という形で文字として書いておき、生徒はそれを読むのです。
私が口頭で説明してそれを生徒が聞く場合も、私が文章に書いてそれを生徒が読む場合も、結局は「同じ情報」を生徒はインプットすることになります。
同じ情報をインプットするわけですが、違う点と言えば、口頭で教師が説明する場合には、生徒は「完全なる受け身」の姿勢となってしまうけれど、文法書に書かれた説明を生徒が読む場合には、生徒は「自分から積極的に読む」ということをしなくてはならないという点です。
「受け身」か「積極的」か、という違いだけですが、学習効果は大きく違ってきます。
当然、「積極的」に取り組んだものの方が、学習者の中に深く、長く残ることでしょう。
そして、自分で説明を読んだ後は、今度は自分が理解した内容を「自分の言葉にして口頭で教師に説明する」ということを本校の授業ではやります。
要するに、自力で「インプット」したら、今度は自力で「アウトプット」する、ということです。これはなかなか大変です。
本校の生徒達は、このような、ある意味「大変なこと」を繰り返していくことで、どんどん文法に強い人になっていくのです。
文法書ができあがる前、市販の文法書を使っていた時は、説明が不十分だったり、説明自体が難しかったりして、生徒が「自力で読む」ということがとても困難でした。
2004年に文法書ができあがってから、上記のようなレッスンがとてもスムーズに行くようになりました。
その後、しばらくは1冊目の文法書に概ね満足しながら授業を進めていきましたが、実際に授業を進めていくうちに、「あ、これは文法書に書いていないな」ということがいくつも出てきました。
文法書に書かれていないことは、当然、私がその場で「口頭」で説明しなくてはなりません。
「口頭」で説明する、ということは、生徒は「受け身」の姿勢になってしまう、ということです。これはまずい。
そうこうするうちに1冊目の文法書の在庫も減ってきて、「そろそろ新しい文法書を書き直そう」と思った矢先、あの、東日本大震災が発生しました。
皆さんも覚えていることでしょう、2011年3月11日です。
地震が発生してから何週間かは、本当に、色々なことを考えました。
教室を閉めようかな、とも思いました。
教室を閉め、被災地に行き、微力ながらもお手伝いできることがあるのではないか、とも思いました。
ですが、私の生徒の一人にこう言われました。
「久末先生のように英語が話せる人は他にもきっとたくさんいます。だけど、久末先生のように英語を教えられる人はたくさんいるわけではありません。だから、久末先生は、教えるのをやめないでほしいです。」
私はこの言葉に、とても勇気づけられました。
「私にできること」と「私にしかできないこと」は違う。
「私にしかできないこと」を、一生懸命やろう。
単純な私は、震災後に生徒数が減っていく中でも、「とにかく、たくさんの英語学習者の助けになるような、もっと役に立つ文法書を完成させよう!」と心に誓ったのです。
それから、約半年後、ようやく、私の2冊目の文法書、「読んでつながる英文法」が完成しました。
この本は、ページ数「437ページ」となり、1冊目よりも内容量が増えました。
それまでの7年間の間に書きためておいた文法項目を全て盛り込んだためです。
この本が出来た時、「ああ、これは最高の本だぞ!」と、やはり単純な私は自画自賛です。
ところが、しばらくすると、また「ああ、ここを直したい」という部分が出てくるものなのです。トホホ。
<続く>
私の3冊目の著書、「世界につながる英文法」は、今月末に発刊予定です!
今、事前予約を受け付けています!
気になる方は、是非以下のページをチェックしてみてください!
http://dupler.co.jp/eng_school/grammar_textbook/