昨日のイントロダクションでも書きましたが、早速1つ、学校英語でよく見かける「V」の名称について考えてみたいと思います。

「文型」を作るのは、「S」「V」「O」「C」などの記号ですね。

これらは一般的に「文の要素」と呼ばれます。(文法書によっては「文の成分」など別の呼び方もあるようです。)

さて、「文の要素」には、もう1つ「M」というものがあるのですが、これは今回は無視します。

イントロダクションでも書いたように、文の要素をそれぞれ日本語で表現すると以下のようになります。

S=主語
O=目的語
C=補語

ここまでは、たぶん、どこの学校でも同じように呼んでいるのではないでしょうか。

問題は「V」です。

V=動詞

と教えたり習ったりしている人がたくさんいるようです。

ここで「動詞」としてしまうと、後々、文法の学習を進めていく際に混乱が生じる可能性があります。

なぜなら、「動詞」というのは、「品詞の1つ」だからです。

では、「品詞」というのはいったい何でしょうか?

品詞とは、主に以下の8つのことです。

1. 名詞
2. 代名詞
3. 動詞
4. 形容詞
5. 副詞
6. 前置詞
7. 接続詞
8. 間投詞

この「品詞」の並びの中に「動詞」という言葉があります。

ご覧の通り、「品詞」には、全て「詞」がついています。

「動詞」もそう。

つまり、「動詞」という名称だけをみれば、それは「品詞の1つ」と考えるのが自然です。

では、「V」についてはどのように呼べば良いのでしょうか?

日本語の文法ならば、普通は「主語」という言葉に対しては「述語」という言葉があります。

つまり、結論としては「V=述語」が正しいのです。

では、なぜ「V=動詞」と教えたり習ったりする人が多いのでしょうか?

それは「英語の場合は、述語となる品詞は常に動詞である」という原則があるからです。

そもそも「述語」って何でしょうか?

「述語」の「述」というのは「述べる」という意味です。

では、何を述べるか?

少し想像力を使ってみれば分かると思いますが、述語の「述」という字は、「文の結論を述べる」という意味を表しているのです。

仮に、10個の文が並んでいたとします。

そうすると、それぞれの文には、文ごとに「結論を述べる部分」があるはずです。

その文の結論を述べる語のことを「述語」と言うのです。

日本語でも英語でも、「述語になる品詞」はたいてい「動詞」です。

しかし日本語の場合は、述語は必ずしも「動詞」ではありません。

『このコーヒーは苦い。』という文の場合、述語(文の結論を述べる語)は「苦い」という言葉です。

「苦い」は動詞ではなく「形容詞」です。

つまり、「形容詞」が述語になる、ということが日本語にはあるのです。

形容詞だけではありません。

『彼は教師である。』のような文では、「教師である」という部分が文の結論を述べていると言えます。

この部分は「教師」という名詞と「である」という助動詞の組み合わせと言えますので、「名詞+助動詞」も述語(正確には述部)となり得ます。

さらに「形容動詞」という品詞も日本語にはあって、例えば「綺麗だ」という言葉は形容動詞の1つです。

形容動詞が文末に置かれると、例えば、『この絵は綺麗だ。』のようになります。

まとめると、日本語では「動詞」だけでなく、「形容詞」「形容動詞」「名詞+助動詞」のようなものが「述語(述部)」となるということです。

ところが、英語の場合は、必ず「動詞」が述語となります。

『このコーヒーは苦い。』
『彼は教師である。』
『この絵は綺麗だ。』

この3つのどの文も、英語では「be動詞」という動詞が述語として使われて表現されます。

そう考えると、英文法においては、「V」は常に動詞になるわけですから、単に「述語」とするよりは、「述語動詞」という四文字の名前をつけておいた方が良いと言えます。

現に、きちんとした英文法の本では、「V=述語動詞」と説明しており、品詞としての「動詞」とは区別しています。

「V」の名称を「述語動詞」と呼ぶのはなぜなのか、そういう説明をほんの少しでも教師がしていれば、生徒も納得できるのです。

ネット上には、「述語」と「動詞」の違いが分からないという質問を投げかけている人がたくさんいるようですが、上記の区別をしていれば、混乱はかなり避けられるはずです。

「述語は文の結論を述べる語」であり、「動詞は動きなどを表す品詞」である、というように区別しておくと良いのです。

そして、英語では述語となる品詞は動詞だから、Vのことを「動詞」と呼ぶのではなく、単に「述語」と呼ぶのでもなく、「述語動詞」と呼ぶことにしよう、ということなのです。

皆さんも英語学習の最初の入口で「V」を見つけたら、是非「述語動詞」という名前で覚えてみてくださいね。

※記事をお楽しみ頂けましたら、以下のランキングにご協力をお願いします。
ポチッと押して頂ければ嬉しいです。(久末)


にほんブログ村


英語 ブログランキングへ