(「ここが変だよ学校英語」シリーズ過去記事はこちら。)

 

このシリーズ、久しぶりに更新します。

中学校の英語の授業でよく耳にする説明として、「肯定文のsomeは、疑問文や否定文ではanyに変えなさい」というものがあります。

ところが、実際の英語の世界では、「some」を「疑問文」で使うケースも多々あります。

それは一体どんな場合でしょうか?

今日も一緒に学びましょう。

 

<アメブロの続きはここから>

 

前回までに、「some」と「any」は、それぞれ違った意味を持っているということを説明してきました。

「some」は「全体の中の一部」あるいは「漠然とした存在」を表します。「存在」を表すということは、つまりは「肯定文」で使われるのが自然だ、ということです。

一方、「any」は「有無」について述べる場合に使われます。つまり、「有無」を尋ねるのですから、「疑問文」で使われるのが基本で、さらには「否定文」では「完全に無し」ということを表します。

このことから、「肯定文ではsomeが使われ、疑問文や否定文ではanyが使われる」という極端な説明がまかり通るようになってしまったのでしょう。

しかし、「疑問文でもsomeが使われるケース」というものは存在します。

それは、「何かしらの”存在”をイメージしながらも、それを相手に尋ねたい」という場合です。

 

例えば、次のような文はどうでしょうか?

“Hey, you look drunk.  Did you drink some beer again?  The doctor said you shouldn’t drink for another two months!”

これをざっと和訳すると次のようになります。

「おい、お前酔っているみたいだな。またビールを飲んだのか? あともう2ヵ月は酒を飲んだらダメだって医者が言ってただろ!」

この文脈では、相手が明らかに「酔っ払っている」ように見えることが前提となります。

その前提で、「またビールを飲んだのか?」と聞いているわけですから、この文を発している人からすれば、「当然、いくらかのビールが存在しているだろう」という「存在」をイメージしていることになります。

「存在」をイメージしながらも、そのことを相手に尋ねたい場合には、「any」ではなく「some」が使われるのです。

上記の文で、「some」を「any」に変えてしまうと、とても不自然な文になってしまいます。

仮に、「Did you drink any beer?」という疑問文があったとしましょう。

「any」は「有無」を表すわけですから、この文の発信者は「ビールの有無」が分からない状態でこの質問をしていることになります。

「飲んだのかな? それとも、全然飲んでいないのかな? どちらだろう?」というように「Yes」とも「No」とも全く判断がつかないような時に、「Did you drink any beer?」という疑問文が使われるということになります。

逆に言えば、「Did you drink some beer?」という疑問文は、どこかしら「飲んだだろう!」というように半ば決めつけた意味合いで使われることになります。

他にも、「Could you go and get some potatoes for me?」のように、「依頼」などを表す疑問文でも「some」が使われます。

これも考え方は同じで、「存在するもの」を前提として、それを取ってきてくれないか、という依頼なのですから、当然「存在」の意味を表す「some」が使われるわけです。

あるいは、「Would you like some coffee?」といった「勧誘」を表す疑問文も同様です。

コーヒーが「存在」しているという前提で、「それを飲みませんか?」と言っているわけですから、ここでは当然「some」が使われるのです。これを「any」にしてしまうと、「有るか無いか分からない」という前提になってしまい、とてもおかしな文になってしまいます。

 

このように、「疑問文」だからと言って、機械的に「someをanyに変えよう」と思ってはいけません。

「someは存在を表す」ということと「anyは有無を表す」ということを、しっかり頭に入れておき、その都度考えるようにしましょう。

 

<続く>

 


 

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