前回(昨日)、現実逃避を克服するには、「そのものに関連する場所に『足を運ぶ』と良い」と書きました。

ただし、このことは、現実逃避しているものに「向かい合う」ということが可能な状態、つまりは、身体も精神もある程度は「健康」な状態でなくてはなりません。

足を運んで、現実を目の当たりにしても、それに向き合って受け止めることができなければ、かえって状況を悪化させかねません。

そういう時は、「足を運ぶ」の他に、別のアプローチが必要となります。

別のアプローチとは、何でしょうか?

そのまま「逃げる」「遠ざかる」「忘れる」を継続することでしょうか?

いいえ、違います。

あるいは、受け止められるように自分を「鍛える」ということでしょうか?

まあ、いずれはその必要はあるかもしれませんが、そうではありません。

そのアプローチとは、「第三者(他人)に『自分を見せる』こと」です。

現実逃避をしていると言っても、程度の軽いものもあれば、重いものもあることでしょう。

程度の軽い現実逃避であれば、前回ご紹介した「足を運ぶ」ということが有効かもしれません。

しかし程度が重くなってしまうと、「足を運ぶ」ということが逆効果となり、自分を余計に苦しめることもあります。

そこで考えなくてはならないのは、現実逃避の程度が重ければ重いほど、その人は、そのことを「誰にも言わず、自分だけの秘密にしたがる」という傾向があるということです。

「自分だけの秘密」にしているからこそ、余計に解決策も浮かばず、意識も低下し、そのまま現実逃避の時間が進むにつれて状況が悪化していく、という悪循環に陥り易いのです。

こういう時は、自分一人だけで事を進めようとしないで、信用のおける第三者や自分を肯定的に見てくれるであろう他人に「自分を見せる」という方法が効果てきめんです。

例えば、借金返済に苦しんでいるような場合は、勇気を持って、会計士や税理士などに相談してみると良いのです。

あるいは、咳がひどくなってもタバコがやめられないとか、いつも酒ばかり飲んでいて酒がやめられないなどという場合には、医者に相談してみるのです。

速攻で問題が解決する、というわけにはいきませんが、少なくとも、自分だけで「現実」に向き合うのではなく、自分の味方になってくれる人と一緒に向き合うことができます。

人は、同じ事をやるのでも、自分だけでやるよりも、誰かと一緒の方が継続的に意識を高く維持しておこなうことができます。

もちろん、「自分一人だけでもできる」という人もいるでしょうが、誰もがそうではありません。

「人に自分を見せる」ということができれば、「一歩も現実に向き合えない」という状況から脱出できる可能性が大いに出てきます。

「自分を見せる」というのは、程度の軽いものに対しても、現実逃避から脱出するのに非常に効果的な方法です。

「部屋を片づけなくてはならないのに、片付けない。」のような場合も同様です。

部屋を片付けられないのは、普段、部屋を見ているのが「自分や家族」のように「見られても平気な人」「身近になりすぎた人」だけになってしまっているからです。

「めったに来ないような人」や「そういう状況を見られたくない人」を「客」として自分の部屋に招き入れる約束を取り付ければ、否応なしに片付けることができますね。

あるいは、受験を控えているのに英語の勉強がまったく進んでいない、という場合は、誰か英語のできる人に見てもらうとか、自分の勉強の進み具合を誰かに報告するとか、自分だけで完結せずに他人を巻き込むような形で進めていくのも手です。

このように「自分を見せる」という方法は、現実逃避の程度が軽いものにも重いものにも有効な手立てと言えそうです。

特に、精神的に参ってしまっている人は、「人に自分を見せる」ということを、是非、勇気を持って実践してみて欲しいと思います。

ただし、相手を選ぶのを忘れないで下さい。

自分に対して「否定的」だったり、「強くなれ」と主観的に叱責しそうな人は避けた方が良いです。

もちろん、愛情を持って、客観的な意見として「強くなれ」と接してくれる人もいますが。

なにより、まず自分のことを「肯定的」に受け止めてくれた上で、一緒に解決策を考えてくれそうな人が良いです。

まあ、精神疾患の可能性がありそうな場合には、素人よりも専門家に相談するのがもっとも良いと思いますが。

ただし、「人に自分を見せる」には、ものすごく勇気が要りますね。

それを妨げているものとは何なのか、それについてはまた次回、ご紹介します。

<続く>