前回、「英語を身につけること」と「車の運転技術を身につけること」には、共通する部分が多いと書きました。(前回記事はこちら

車の運転ができない人は、まずは教習所へ通って、以下のことを学ぶ必要がありますね。

 1. 車という機械のある程度の「仕組み」を勉強する。

 2. 一般の交通法規、つまりは車を走らせる「ルール」を勉強する。

 3. 実際に車を運転する「技術」を学ぶ。

つまり「頭」と「身体」の両方を使って、車を運転するために必要な知識と技能を学習していく。

あとは「実践」を繰り返していく、ということが重要ですね。

このことを「英語学習」に置き換えてみましょう。

英語を身につけた人は「英語でコミュニケーションがとれる人」ということです。

英語でコミュニケーションがとれるということは、「英語で文を作って、発話することができる」ということです。

そのためには、もうこのブログで何度もお話してきましたが、次のようなことが必要と言えます。

 1. 単語を適切に「選択」するための「ルール」を知る。
  (語彙・イディオムの知識)

 2. 単語を適切な形に「変化」させるための「ルール」を知る。
  (語彙・イディオムの知識、および文法の知識)

 3. 単語を適切な順番に「並べる」ための「ルール」を知る。
  (文法の知識、あるいは語彙・イディオムの知識)

 4. 並んだ単語によって出来上がった文を、適切な「音」で発するための「技術」を学ぶ。
  (発音のテクニック)

つまり、「車の運転」と同じように、やっぱり「頭」と「身体」の両方から学習し、訓練していかなくてはならない、ということです。

車の場合、「運転免許を取得した時点」というのは、運転そのものは上手いわけではありませんね。

言い換えれば、まだまだ「危険」な状態と言えます。

英語の場合も、仮にある程度の「語彙力」を身につけ、さらにある程度まで「英文法」の学習を終え、さらにはそこそこ「発音のテクニック」を身につけたとしても、まだまだ「上手い」と言えるわけではありません。

それは、もしかしたら「相手に通じない」という可能性もある、いわば「危険」な要素をはらんでいるとも言えるのです。

しかし「危険」だからといって、実践することを怖がっていては、いつまで経っても上達しません。

「車をこすったり」「ぶつけて車を凹ませたり」ということを「ある程度は覚悟」しながらも、傷つくことを恐れず、勇気を持って実践してみる必要があります。

では、逆に、単に「実践すれば良い」のかと言えば、いえいえ、その前にやっぱり「基本的なこと」を身につけている必要もありますね。

英語において「基本的なこと」を学ぶというのは、それは上述したように「単語」や「文法」や「発音」の基本を学ぶということに他なりません。

そして「実践」というのは、それは実際に英語を使ってコミュニケーションを図ってみる、ということです。

ちまたにあふれる「英会話スクール」の多くが、「いきなりネイティブと会話」というスタイルをとっているようですが、これは「いきなり実践する」ということであり、言うなれば「車を運転したこともない人に、いきなり公道で車を運転させる」ようなものです。

単語の基本、文法の基本、発音の基本、これらを「学びながら」ということならばまだしも、ほとんどゼロに近い初級者にさえ「会話(=実践)」というスタイルで最初から指導しているところは少なくありません。

英語も車の運転も、「基本」だけでもいけませんし、「実践」だけでもいけません。

「基本+実践」という両方が、それぞれ「頭」と「身体」の両方で必要になるのです。

 「頭」を使った「基本」

 「身体」を使った「基本」

 「頭」を使った「実践」

 「身体」を使った「実践」

この4つをバランスよく進めていくことが、英語にも車の運転にも共通して大事なことなのだと思います。

そして、これらのことをきちんと進めていけば、英語も車の運転も、「誰にでも」身につけることができるのです。

「人間なんだから、必ず身につけられる」

そう信じて、諦めないことが、大切なんです。