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前回は、「音読」のためのテキスト選びについて少し書きました。

テキスト選びには「文の長さ&ボリューム」および「文の難易度」に分けて考えると良いと書きましたが、「文の長さ&ボリューム」に関する注意点として、「日本語が混ざっていないものが良い」とも書きました。

以下、その理由について書きます。

英語と日本語は、まるで性質の異なる流れの「2本の川」のようなものです。

日本に住んでいれば、常に「日本語の川」の流れに乗って毎日生活することになり、アメリカなど英語圏で生活していると、日本語とは全く違う「英語の川」の流れに乗る毎日となります。

人がある言語になじむには、それ相応の時間が必要です。

長いこと「日本語の川」の流れに乗っていた人が、急に「英語の川」に乗り換えたとしても、そんなに簡単に英語の流れに「なじむ」わけではありません。

逆に「英語の川」から「日本語の川」に乗り換える場合も同じです。

私がアメリカから帰国した際、私は母国語である「日本語の川」の流れに乗ることに非常に苦労しました。

それまで、たった10ヵ月とは言え、「英語の川」の流れに乗って生活していたのです。

ようやくその流れになじんだところで、帰国していきなり「日本語の川」の流れに乗ることになったわけです。

そうすると、自分の中から出てくる言語は、急ブレーキがきかずに「英語」のままとなってしまいます。

このように、1つ1つの言語には「川の流れ」のようなものがあって、それに乗り換えて「なじむ」ためには、一定の時間が必要なのです。

このことから、音読のためのテキストを選ぶ際も、なるべくなら「英語だけ」のものにすると良いと思います。

よく、「日本語と英語が交互に録音されているテキスト」が販売されています。

これはこれで、「意味を理解する」という点では優れているかもしれません。

しかし、頭に英語を「なじませる」ということを目的とするならば、「日本語」が混ざっているテキストでは、相当な時間のロスとなります。

せめて、1回「5~10分」程度の時間は、日本語の入り込まない、完全に「英語だけ」の時間を作り上げてみると良いでしょう。

もちろん、長ければ長いほど良いとは思いますが、日本語での日常生活もあるのですから、「5~10分」のものを数回に分けて、それを何度も聞いたり、音読したりするのが良いと思います。

そしてもう1点、音読用テキストの「文の長さ&ボリューム」に関連して注意点があります。

それは、「1つ1つの単文の集まりではなく、全体が1つのストーリーになっているもの」が良い、ということです。

これについては、また次回、書きます。
ではまた!

続く