前回の続き>

前回は「発音記号」というものをマスターすれば、「音」と「文字」を対応させるのに役に立ちますよ~、という話で終わりました。

今回は、その意味をご説明します。

「音」というものは、普通は「目に見えないもの」であり、そして「文字」というものは「目に見えるもの」ですね。

このように「目に見えないもの」と「目に見えるもの」を付け合わせるのは、本当はとても難しいことなのです。

しかも「1つの音」に対して「2つ以上の文字」が対応していることがありますし、逆に「1つの文字」に対して「2つ以上の音」が対応していることがあります。

例えば、「ワン」という音に対する英単語としては、「one(「1」の意)」がまず浮かぶでしょうが、もう1つ「won(「勝った」の意)」も同じ音です。

このように「1つの音」が「2つ以上の文字」に対応しているというケースがあります。

一方、逆のケースもあります。

例えば、「minute」という文字は、普通は「ミニッt」のような発音になりますが、他にも「マイニューt」のような発音になることもあります。

このように「1つの文字(列)」が「2つ以上の音」に対応している、というケースもあるのです。

英語では、そもそも「音」と「文字」は「1対1」で対応しておらず、さらに片方が「見えないもの」でもう一方が「見えるもの」だとすれば、ますます両者を対応させるのは困難となります。

そこで、「発音記号」の出番です。

発音記号は「見えるもの」ですから、そういう意味では「文字」と似ています。

どちらも「見える」のですから、「発音記号」と「文字」を目で見て比べていくことが容易となります。

その一方で、「発音記号」は「音」とは必ず「1対1」で対応しています。

ある音を誰かが発した場合、その音に対する発音記号は、ほぼ常に「1つ」となるわけです。

そもそもが「1対1」で対応していない「音(見えないもの)」と「文字(見えるもの)」をいきなり対応させようと努力するよりも、間に「発音記号」を挟んだ方が、両者を対応をさせるのに非常に便利なのです。

これは覚えない手はない!

しかも発音記号は、日本語の「ローマ字」と同じ感覚で扱うことができます。

ローマ字を知っている日本人なら、ほんのいくつかの「特殊な記号」を覚えさえすれば、あとは完全にマスターできるはず。

発音記号の数は、分類の仕方にも寄りますが、ざっと「54個」しかありません。

これしかないのですし、しかもそのほとんどを日本人は既に知っているのですから、一度全ての発音記号について学習してしまい、マスターしてしまえば良いのです。

ところが、マスターできるはずの発音記号をなぜかマスターできない日本人がたくさんいます。

それはなぜでしょう?

それは「実際に正しい英語の発音をしながら発音記号を教える」というスキルに長けた教師が、残念ながら日本にはまだ少ないからです。

中学校、高校の英語教師の中にも「発音は上手じゃない」という人がたくさんいます。

学校での授業カリキュラムにおける発音記号の比重も軽く、授業中に「発音記号をしっかり教えよう」という意識すら弱いのかもしれません。

そういう状況にあっては、生徒たちが「発音記号がよくわからない」となってしまっても不思議ではありません。

大人が通う英会話スクールや英語教室であっても、「発音記号」を基本から教えてくれるところはなかなかありません。

ですが、「発音記号」さえマスターしてしまえば、辞書に書かれた全ての単語を自力で発音することができるようになりますし、逆に人が発した英語の発音を聞いてスペルをある程度まで言い当てられるようにもなります。

これは、「英語の個人トレーニング・その2」の「2. 正しく発音するためのトレーニング」にも、もちろん関係してきます。

発音と文字に関する理解のためにも、そして正しく発音するためにも、どちらにしても「発音記号の学習」というものは避けて通ることができません。

だからと言って、発音記号は独学で学べるほど簡単なものでもありません。

何しろ「実際の音」との付け合わせが必要となるのですから。

初心者は、発音記号を自力で学ぼうとせず、やはり誰かに指導を受ける方が良いでしょう。

英語の個人トレーニングをするにしても、「発音記号」をきちんと教えてくれるところをまず探した方が良いと思います。

さて、次回は「2. 正しく発音するためのトレーニング」についてご紹介します。

どうぞお楽しみに!

続く

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