<前回の続き>
前回、「練習(=量)」だけでは身につかない時は「意識(=客観視)」が必要であると書きました。
「意識」 × 「練習」 = 「成長」
【意識】
1. 自分の弱点や課題に「自分で」気づく。
2. 客観的に自分を観察する。(自分を客観視する。)
3. 向上心を持ち、具体的な目標を持つ。
【練習】
1. こつこつ真面目に繰り返す。
2. 愚直に継続する。
3. 時間をかけ、量をこなす。
簡単に言えば、「意識」というのは「頭で考える」ということであり、「練習」というのは「気合いや根性で頑張る」ということと言えます。
「意識」と「練習」のどちらかでもゼロになってしまえば、「成長」もまたゼロになってしまう可能性があります。
前回は、「練習」だけでうまくいかない人が「練習の量を増やそう」と思ってしまいがちだ、ということを書きました。
「練習」だけでうまくいかない人が量を増やしても結果はさほど変わらないかもしれません。
だから「練習」だけでうまくいかないのならば、「練習を増やす」ということをするのではなく、「意識を持つ」あるいは「意識を高める」ということをしてみると良い、ということです。
ここで「英語の発音トレーニング」の話に戻って考えてみます。
発音練習の際には、どのようなことを「意識」すれば良いでしょうか?
以下、うちの生徒たちの発音練習の様子から窺える「ここを意識すれば良い」というポイントの代表的なものを挙げます。
<発音練習で意識すべきポイント>
1. 自分が出している音を、自分の耳でしっかり「聞こう」とすること。
2. 正しい音はこうだった、と探るよりも、「自分はこうやって間違えてしまいがちだ」ということに注意すること。
3. 丁寧に、ゆっくり発音すること。
4. 細部にこだわり、自分自身のことを緻密にチェックすること。
どれも「当たり前」と思われることかもしれませんが、いざ自分でやるとなると、なかなかうまく行かないものなのです。
まず「1」から見てみましょう。
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1. 自分が出している音を、自分の耳でしっかり「聞こう」
とすること。
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これは、自然にやれている人は何も苦労せずにやれるのですが、自然にやれない人にとってはとても大変な作業です。
「自分が音を出す」という行為は、言うなれば「アウトプット」の行為です。
一方、「自分の音を聞く」という行為は、「インプット」の行為と言えます。
一般に、発音に限らず、「インプット」と「アウトプット」では、どちらの方が難しいでしょうか?
「漢字の読み書き」などを思い浮かべれば分かると思いますが、どんなことでも「インプット」よりも「アウトプット」の方が遥かに難しいと言えます。
「発音を聞く」のと「自分が発音する」では、当然後者の方が難しいのです。
では、「自分が出している音を、自分の耳で聞く」というのはどういう作業でしょうか?
これは「音を出す(アウトプット)」と「音を聞く(インプット)」の両方を同時に行うような作業となります。
ところが、この2つを同時にこなそうとする時、人によっては、「どちらか一方のみ」に意識が行ってしまうことがあります。
それは、より難しい方の「音を出す(アウトプット)」に意識が集中してしまい、「音を聞く(アウトプット)」の方がおろそかになってしまうからです。
つまり「発音をしているのにも関わらず、自分がどういう音を発しているのか全く聞いていない」ということになってしまう、ということです。
自分の音を聞かないなんて、そんなことがあり得るはずがない、と思う人もいることでしょう。
しかし、これは事実です。
うちの生徒たちの中にもこれで苦労している人が半数近くはいます。
意外に多いのですよ、「自分の発音を聞く」ということができていない人って。
「自分が出している音を、自分の耳で聞く」ということが苦手な人に共通しているのは、「歌をあまり歌わない」ということです。
歌を歌う、ということを日頃からたくさんやっている人は、「英語の発音」になった時に、わりと上手にこなすことができるようになります。
しかし、歌を歌う、ということをあまりやらない人は、「自分の音を調整する」という経験や練習が少ないと言えます。
これは実際に発音指導を受けてみないと分からないかもしれませんが、「歌が苦手」という人は、「自分が出している音を、自分の耳で聞く」ということも苦手である傾向があります。
言語習得の基本は「音」です。
日頃から、歌を歌うなど、音を自分で出して調整するなどの練習をしてみると良いかもしれませんね。
さて、次回は上記の「発音練習で意識すべきポイント」の「2」について考えてみましょう。
どうぞお楽しみに!
<続く>
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