前回の続き>

前回は「英文法」の学習をしていくには、次のことが大切だ、というところで終わりました。

・具体化する → 例を挙げる
・抽象化する → 話をまとめる

「具体化する力」と「抽象化する力」の2つが鍛えられていくと、英文法もどんどん理解していくことできます。

それはどういうことでしょうか?

この話に入る前に、まず「文法」を学習していく際の基本的な考え方についてお話します。

まず、「文法」というのは「文を作る法則」のことです。

文は「単語」が並んでできているので、単純に考えれば「単語を並べれば文ができる」ということになります。

ところが、「単語」というものは、入り込む文によって、その都度「形」が変わります。

適切な「形」を選択しなければ、適切な文にはなりません。

例えば、「彼は彼の犬が好きだ。」と言いたいとします。

He like he dog.

これは形を何も変えていない例です。

途中の「like」と「he」を適切な形に変えなくてはなりません。

He likes his dog.

このように単語というのは「文の中では形が変わるもの」なのです。

しかしそれだけではありません。

さらに、「単語」が文に入り込む際には、単語の「並べ順」に気をつけなければなりません。

並べ順がいい加減では、適切な文にはなりません。

He his dog likes.

これでは意味が通じません。この並べ順では「彼の犬は彼のことが好きだ。」と勘違いされてしまっても仕方ありません。

このように、英文を作るには、単語の形を変えるだけでなく、適切な「並べ順」に直さなくてはなりません。

つまり、「単語」を並べれば「文」になるはずですが、そこには「単語の変化のルール」と「単語の並べ順のルール」の2つをきちんと考慮しなくてはならない、ということです。

「単語の変化のルール」と「単語の並べ順のルール」をまとめたもの、それが「文法」ということになります。

 「文法」=「単語の変化のルール」+「単語の並べ順のルール」

ということです。

さて、単語の「単語の変化のルール」と「単語の並べ順のルール」が分かれば「文法が分かった」と言ってよいのですが、実際はそんなに簡単な話ではありません。

まず、「文法」というものは「覚えれば良い」というものではありません。

文法は前述したように「ルール」なのです。

「ルール」は覚えるのではなく、「理解する」ということが最初に必要です。

「理解」があるからこそ、実際のそのルールを使って、様々な単語に置き換えて英文を作っていくことができるのです。

「覚える」だけでは、他の単語に入れ替えようとしてもうまくいきません。

ところが、学生時代から文法が苦手だという人の多くは、「理解」よりも先に「記憶」をしようとしてしまう傾向があります。

もちろん、記憶する、ということは大事です。

ですが、「理解を伴わない記憶」と「理解を伴った記憶」は全然違います。

ちょっと記憶力の良い、中途半端な頭の良さを持った人などは、「理解しなくても記憶できてしまう」からと言って、何も理解せずに丸暗記しようとしてしまいがちですが、それではいけません。

まずは、英文法を「理解する」ことを努力しなくてはいけません。

私は、授業中にもよく「覚えるのではなく、考えて理解しましょう」と生徒達に話します。

ところが、なんていうんでしょう、日本という国の教育制度の問題点なんでしょうか。

学生時代にさんざん「覚えなさい」と言われてきたせいか、大人になった今でも、英文法を「覚えよう」としてしまう人がたくさんいます。

私がいくら「覚えようとするのはやめなさい、考えなさい」と口を酸っぱくして何度も伝えても、ふと気づくと「覚えよう」という意識で文法書を読んでいる人がたくさんいるのです。

そういう意識でいると、長い時間英文法を勉強しても身につかない、ということになってしまいます。

では、「理解する」というのはどういうことでしょうか。

「理解する」というのは、頭のなかで、「言葉」と「イメージ」を「つなげていく」ということです。

「言葉」と「イメージ」をつなげる。

「言葉」と「言葉」をつなげる。

こういうことができてはじめて、人は何かを「理解」をしていくことができるのです。

つなげるということは「考える」ということ。

「考える」ということ実践した先に「理解」があるのです。

さて、今日はここでいったん区切ります。
続きはまた次回。どうぞお楽しみに!

続く

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