<前回の続き>
前回は「文法を理解したならば、それを使って新たな具体例を生み出そう」ということを書きました。
例えば、「関係代名詞の非制限用法」という文法項目を理解したとします。
理解したならば、関係代名詞の非制限用法を使って、具体的な例文を作り出すことができるはず。
そうやって、たくさん例文を作っていくことで、だんだんと「関係代名詞の非制限用法」のイメージが自分の頭の中でかたまっていくのです。
さて、このように、自分の理解から「具体化する」ということをしていくと、その理解はどんどん深まります。
では、「具体化する」という練習を繰り返して行けば良いかと言えば、そうではありません。
「具体化する」というのは、ある意味「慣れ」のようなものでもありますので、そのうち、最初の理解から乖離(かいり)して、ワンパターンに具体化することができるようになってしまう場合もあります。
慣れていくうちに「具体例を作れれば良し」となってしまい、本来の目的であったはずの「理解」が消え失せてしまうのです。
そこで、もう1つ、別のことをやる必要があります。
それは、「抽象化する」ということです。
具体例をいくつも挙げていくことができるならばそのことを「理解している」と言っても良さそうですが、上述したように、「理解していない」ような状態でも、「慣れ」によって具体例を挙げることができてしまうケースがあります。
「慣れ」だけで具体例を挙げていくということを繰り返して行くと、本来の理解からそれてしまい、だんだん間違った具体例を作るようになってしまうこともあるのです。
しかも「理解」が遠ざかってしまっているので、自分が作っている具体例が、いつの間にか間違ったものになってしまっていると自分で気づくことができない場合もあるので怖いのです。
教師は、生徒が「具体例を挙げられる」からと言って、それだけでその生徒が本当に理解したと決め込んでしまってはいけません。
理解したならば、「具体例を挙げる」だけでなく、複数の具体例を並べた上で、それらについて「抽象的な説明」をすることができるはずです。
つまり、「具体例」を見ながら、今度は「要点をまとめてみる」ということです。
そして、「自分の言葉」を使って話の要点をまとめることができるならば、それは本当に理解したと言えます。
「関係代名詞の非制限用法」という難しい文法項目について、自分で具体例を挙げるだけでなく、さらにはそれについて自分の言葉でまとめて説明することができる。
そうすれば、「関係代名詞の非制限用法」についてはもう怖くありません。
その用法を使って自分で英文を作ることもできますし、非制限用法にすべきでない英文を見かけた時に間違いを指摘することもできますし、さらにはその理由を人に説明することもできます。
こういうことができてはじめて、「自分の理解にすることができた」と言えるのです。
・具体化する → 例を挙げる
・抽象化する → 話をまとめる
文法に限らず、何かを理解し、何かを自分のものとするならば、この2つの両方を意識しながら学んでいくと良いでしょう。
是非やってみてください。
<続く>
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