<前回の続き>
(「心の健康を損なわないために」のこれまでの記事一覧はこちら。)
前回、「やらなくてはならない仕事」を減らすためには、以下の4つの方法がある、と書きました。
(1) そもそも最初から引き受けない。
(2) 部分的にやらなくても良い箇所を探し、全体の仕事量を減らす。
(3) 優先順位を明確にし、可能であれば後回しにして「今は」やらない。
(4) いったん引き受けた仕事でも、「できない」と言って仕事の依頼主に返す。
何度も言いますが、「やらなくてはならない仕事をやらない」のではなく、「やらなくてはならない仕事だと思っていたものを、やらなくても良いはずだと思い直す」ということをしてから、「実際にやらない」ということをするわけです。
肝心の「思い直す」ということをしないままでは、当然、「やらない」という結果にはなりませんので、このあたりに注意が必要です。
まず最初に必要なのは、「やらなくても良い」と自分が思い直してみるということなのです。
さて、「やらなくても良いはずだ」と思い直すことができた仕事に対して、上記の4つに当てはめて考えていきましょう。
まず1つ目。
(1) そもそも最初から引き受けない。
これは、一番確実ですね(笑)
最初から引き受けなければ、絶対に「やる」などということにはなりません。
ただ、この「引き受けない」ということが、意外に難しいことかもしれません。
仕事が発生するのは、「他人から仕事が与えられる」という場合と、「自分で仕事を生み出す」という場合におおまかに分かれます。
「他人から仕事が与えられる」という場合には、仕事を与えてくる相手と自分との「人間関係」や「力関係」や「立場」や「状況」など、様々な要素が絡み合っているでしょうから、そう簡単に「引き受けない」で済ませることができないことが多々あるかもしれません。
ここで忘れていけないのが、今、「仕事をやらない」ようにしようとしているのは、そもそも「オーバーワークを軽減させたい」という思いがあるからだということです。
つまり、暇で、手も空いているのに「引き受けない」ということではありません。
他にやるべき仕事が山ほど有り、自分自身は完全に「オーバーワーク」になっているという状況があるという前提なので、「引き受けない」ということを相手に伝えるのは、それほど難しくはないかもしれませんね。
もしも「引き受けられません」ということを言い出しづらい時には、自分がオーバーワークの状態で、この状態が長引けば、自分の身体や心の健康を損なってしまうかもしれない、というギリギリの状態だということを思い出しましょう。
その状態で、さらに自分に仕事を与えてくる人に対しては、今の自分がどんな状況なのかを「正直に話す」ということが必要です。
「今の自分には引き受ける余裕はありません」ときちんと伝えるのです。
ですが、これが簡単にいかないことがある、というのも分かります。
でも考えてみると、上記の「4」よりは遥かに言いやすいのではないでしょうか。
『(4) いったん引き受けた仕事でも、「できない」と言って仕事の依頼主に返す。』
「いったん引き受けてから、後で断る」というのは、相手への迷惑度としては「最初から断る」よりも上かもしれませんね。
最初から引き受けていなければ相手も別の手段を講じていたかもしれません。
しかし、いったん引き受けて、相手に「期待」を持たせておいて、それから後になって断るのは、相手にとっては本当に迷惑でしょう。
そこで使えるのは、上記の「3」です。
『(3) 優先順位を明確にし、可能であれば後回しにして「今は」やらない。』
つまり、勇気をもって「今の自分にはできません」と伝えるのです。
あるいは、「今はできませんが、やるとしても、だいぶ遅くなってしまいます」ということをきちんと伝えるのでも良いかもしれません。
いずれにしても、「今は引き受けない」ということを、勇気を持って相手に伝えることがとても大切です。
そして、もう1つ、「自分で仕事を生み出す」ということについては、それこそ、「この仕事は必要ではない」と思い直すことに成功したのであれば、「自分で仕事を生み出す」ということをせずに済むはずです。
もしも、自分自身がオーバーワークであるにもかかわらず、「自分で仕事を生み出す」ということをしそうだとしたら、そもそも、「この仕事は必要ではない」と思い直すことがうまくいっていないと言えます。
だから、やっぱり最初に肝心なのは、前回も書いたように、「must(やらなくてはならない)」と自分で思っていることに対して、「いや、よくよく考えたら、これはmustではない」と思い直すことなのです。
モノの考え方に偏りがあったり、1つの考え方に異様な執着があったりすると、この「思い直す」ということはなかなかうまくいきません。
自分の身体と心を守るためにも、自分の偏りや執着というものを、見つめ直してみると良いでしょう。
さて、次回は、上記の「(2) 部分的にやらなくても良い箇所を探し、全体の仕事量を減らす。」について考えてみましょう。
どうぞお楽しみに
<続く>
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