<前回の続き>
(「心の健康を損なわないために」の記事一覧はこちら。)
前回、心の健康を損なってしまう原因の1つに、「何かをばっさり切り捨てる傾向がある」ということを挙げました。
“短絡的”な考えによって、物や人をばっさり切り捨てる傾向が強い人、あるいは、自分の行動パターンに限りがあり、「こういうことは一切やらない」とあまり深く考えずに切り捨てる傾向が強い人は、そのことによって、自分自身が苦しむ結果に終わることがあります。
一度切り捨ててしまったものは、簡単には自分の所には戻って来ません。
切り捨ててしまう事柄が多ければ多いほど、「自分に残された選択肢」が狭められてしまうということになるのです。
本当ならばもっと楽な方法が見つかるかもしれないのに、選択肢が狭くなってしまうことによって、結局「辛い方法」でしか物事を乗り越えることができない、という状況に陥ってしまう可能性があります。
心の健康を損なってしまわないためにも、何かを切り捨てる前に、「感情」ではなく「理性」を使ってよく考えてみることをお薦めします。
さて、今回は、「ヘルプの出し方」について考えてみたいと思います。
<アメブロからの続きはここから>
心の健康を損なってしまう人の話を聞くと、「他人を頼らず、自分だけでやり通そう」とする人が多いことに気づきます。
どのようなことでも、「自分一人」だけで最後まで遂行しようとするのは大変結構なことです。
そういう人は、「自立心が強い」とも言えますし、「責任感が強い」とも言えます。
しかし、そういう性格であるが故に、自分自身を苦しめるだけでなく、周囲の人にも迷惑をかけることがあります。
与えられた仕事の「量」が多すぎたり、あるいは「難易度」が高すぎたりすることはよくあります。
ところが、「他人を頼りにしない」ということを頑なに貫こうとする人は、自分一人でこなせない場合でも、周囲に「助けて!」と言うことができません。
その結果、終わらせなければならない「期日」に間に合わなかったり、あるいは求められた「完成度」を達成することできなかったりします。
期日に間に合わない、あるいは完成度が足りていないような結果に終わった時、「すみません、一生懸命やったのですがダメでした」と言って済めば良いのですが、それでは済まされない場合もありますね。
会社での仕事もそうですし、あるいは、家事や育児といった仕事も同じです。
「一生懸命やる」とか「自分自身の力で最後まで頑張る」といった事は、それだけを見れば「良いこと」とされがちです。
しかし、どのようなことにも「逆の見方」ができるはず。
「一生懸命やったけど、期日に間に合わなかった。」
「自分自身の力で最後まで頑張ったけど、十分な完成度には足りなかった。」
こういう結果に終わってしまえば、周囲の人達も巻き込んでしまうことになります。
だから早めに「ヘルプ」を出すことも大切です。
しかし、ヘルプを出すのがあまり得意でない人にとっては、「助けて」と人に言うのは相当高いハードルと言えます。
実は、私(久末)もまた、学生時代はそういうタイプの人間でした。
アメリカに留学していた頃も、そういう自分の性格によって、結局は自分自身が苦しむという経験をしました。
だから、「ヘルプを出すのが苦手」という人の気持ちは分かるつもりです。
ヘルプを出すのが苦手な人は、最後のギリギリまでヘルプを出しません。
最後のギリギリ、あるいは限界を超えた後になってから、ようやくヘルプを出すのです。
すると、ヘルプが出た時点では既に手遅れとなっていることもあります。
要するに、ヘルプを出す「タイミング」が遅すぎるのです。
周囲の人にとっては、手遅れとなってから、あるいはギリギリになってからヘルプが来るものですから、助けようにも簡単には助けることができないのです。
ということは、ヘルプを出すタイミングを早めれば良いということです。
しかし、ヘルプを出すのが苦手な人は、「早めに助けを求めることは、自分自身の評価を落とすことになる」という考え方を持っています。
かつての私もそうでした。
「人に助けを求めることで自分の評価を落とすくらいなら、最後まで自分の力だけで頑張ろう。」
そのような考え方に支配されてしまうと、なかなか「ヘルプ」を出すことができません。
だから、そのような考え方を持っている人は、次のように考えてみましょう。
「今、ヘルプを求めれば、助けてくれる人にとっても楽だ。これが遅くなれば、余計に迷惑になってしまう。」
「ヘルプ」を求めることによって、「自分が楽になる」だけでなく、「周囲の人も楽になる」と考えてみるのです。
もちろん、物事にはすべてバランスが大事。
必要でもないのにむやみに「ヘルプ」を連発しすぎると、今度は「本当は自分1人でできるはずのことができなくなってしまう」という問題が起きます。
だから見極めが大切なのですが、ヘルプを出すのが遅すぎる人の場合は、「少々早すぎる」くらいがちょうど良いかもしれません。
手遅れになる前に、「勇気」をもって、周囲の人に、早めに「ヘルプ」を出すようにしましょう!
<続く>
(これまでの記事一覧はこちら。)