生徒から「難しくてよく分からない」と言われる文法項目の1つに「現在完了」という表現があります。

確かに、「現在完了」は日本人にとって簡単な表現ではありません。

わりと英語のできる人でも、「現在完了」と「過去形」の区別がきちんとできていないことがあります。

さらに言えば、ネイティブが使う表現ですら、「現在完了」と「過去形」をごっちゃにしたものもあるものですから、日本人が混乱するのも無理はありません。

ですが、基本的な考え方をしっかり押さえてしまえば、「現在完了」など恐るるに足らず!

ネイティブの感覚では、どのように「現在完了」を使っているのか、一緒に確認してみましょう。

 

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まず、「現在完了」というのは、「完了形」という表現のうちの1つです。

「完了形」には、「現在完了」の他に「過去完了」というものがあります。

英語では、「現在完了」は「haveの現在形(=「have」か「has」)+動詞の過去分詞」という形で表現されます。

一方、「過去完了」は「haveの過去形(=「had」)+動詞の過去分詞」という形で表現されます。

「have+動詞の過去分詞」というのが完了形の基本の形であり、「have」の部分が「現在形」ならば「現在完了」となり、「have」の部分が「過去形」ならば「過去完了」となる、ということです。

さて、ここまでは多くの人が分かっていると思いますが、問題なのは「完了形の意味」です。

どのような時に「完了形」の形にすれば良いのか?

そのあたりがよく分からないという人はたくさんいるようです。

まずは「現在完了」について、その意味を考えてみましょう。

 

「現在完了」には、「1. 完了」「2. 結果」「3. 経験」「4. 継続」という4つの意味があります。

恐らく、一番分かりやすいのが「3. 経験」でしょう。

これは、簡単に言えば「今までに〜したことがある」というような意味の表現のことです。

続いて分かりやすいのが「4. 継続」ではないでしょうか。

これは、「過去のある時点から現在に至るまで、ずっと〜し続けている」ということを表します。

「3. 経験」と「4. 継続」のどちらも、「過去のある1時点」と「現在」の2つの時点を結んだ表現と言えます。

「3. 経験」の表現では、例えば、「私はドイツに行ったことがある。」のような文の場合ならば、「私が生まれた時点から現在に至るまでの間」についての話をしています。

「4. 継続」の表現では、例えば、「私は2007年からずっと松戸市に住んでいる。」という文があったとしたならば、「2007年という過去の1時点から現在に至るまでの間」についての話をしているのです。

このように、「過去の1時点」と「現在」という2つの時点を結んだ表現、それが「現在完了」ということになります。

そして、「1. 完了」と「2. 結果」もまた、「過去の1時点」と「現在」の2つの時点を結んだ表現なのです。

では、「1. 完了」と「2. 結果」というのは、一体どのような表現なのでしょうか?

 

実は、文法書によっては、「1. 完了」と「2. 結果」の2つを「同じもの」として扱っている場合があります。

なぜなら、この2つには共通点があるからです。

その共通点というのは、「過去に、1つの動作が行われた」という点です。

現在完了の「1. 完了」も「2. 結果」も、どちらもまず、「過去のある1時点に動作が行われた」ということを述べています。

それならば「過去形とはどう違うのか?」という疑問がわいてくることでしょう。

「現在完了(「1. 完了」と「2. 結果」)」と「過去形」の違いというのは、「現在」につながりを持っているか、持っていないかの違いと言えます。

「現在完了」の場合は、「現在」へのつながりを持っています。

ところが、「過去形」の場合は、「現在」へのつながりを持っていません。

例えば、次のような文があったとしましょう。

 

『彼は車を買った。』

 

この文を普通に読めば、「過去形」だろうと思いますね。

「過去の1時点」において、「車を買う」という行いをしたという意味です。

ところが、英語では、この文を「過去形」で表現するだけでなく、「現在完了」でも表現できてしまうのです。

★ He  *bought*        a car. >>> 【過去形】

★He  *has bought*  a car. >>> 【現在完了】

「過去形」の場合は、「過去の1時点に、車を買った」ということしか述べていません。

ところが、「現在完了」の場合は、「過去の1時点に車を買い、そのことが現在にもつながっている」ということを表すのです。

普通、「車を買う」という行為を行った後には、その行為の「前」と比べて、「変化」が生じますね。

当然、「車を買う」ということは、現金で買ったならば「車の代金分のお金が自分の手元から無くなる」ことになりますし、あるいはローンを組んだとしたならば「向こう何年かまで月々のローンが発生している」ということになります。

また、「車を買う」ということは、買う前にはなかった車が「自分の所有のものとなっている」とも言えます。

つまり、「車を買う」という行為の「前」と「後」では、状況がすっかり変わっているのです。

そして、「現在完了」を使って「He *has bought* a car.」と表現した場合には、「現在」のことについて述べていることになるのです。

例えば、「車を買ったのは過去のことだけれど、今は手持ちのお金がなくなっている」とか、「車を買ったのは過去のことだけれど、今はローンを抱えている」とか、はたまた「車を買ったのは過去のことだけれど、その車は今もまだ自分の所有物となっている」など、「現在」のことについても、それとなく述べているのです。

もちろん、ハッキリと現在のことについて述べているというわけではありません。

あくまでも「現在のことを、それとなく述べている」ということなのです。

 

「現在完了」という表現は、「1. 完了」「2. 結果」「3. 経験」「4. 継続」というように4つの意味に分かれますが、どの意味においても、必ず「過去の1時点」と「現在」に結びつきを持つような表現なのです。

ということは、「過去の1時点のことだけを述べたい」という場合には現在完了ではなく、「過去形」を使うということになります。

さて、少し長くなってしまいましたので、「1. 完了」と「2. 結果」の違いについては次回に持ち越しますね。

次回をどうぞお楽しみに!

 

<続く>

 

 


 

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