前回、以下のような問題を出しました。

−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−
Q. 関係代名詞を使い、以下の日本語の文を英語に訳しなさい。関係代名詞が省略されるのが一般的な場合には、関係代名詞を省略せずにカッコの中に入れて表記しなさい。また、複数の関係代名詞を使うことが可能な場合には、スラッシュ(/)を使って列記しなさい。

1. これは去年私の父が北海道で撮った写真です。

2. あなたは時には、考え方があなたと異なる人と話すべきだ。
(ヒント:「人」は「someone」としましょう。また「考え方」は「way of thinking」と表現できます。)

3. それは彼らの息子さんが書いた小説の1つです。
−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−

まずは解答です。

1. これは去年私の父が北海道で撮った写真です。
→ This is a picture (which/that) my father took in Hokkaido last year.

2. あなたは時には、考え方があなたと異なる人と話すべきだ。
(ヒント:「人」は「someone」としましょう。また「考え方」は「way of thinking」と表現できます。)
→ You should sometimes talk to someone whose way of thinking is different from yours.

3. それは彼らの息子さんが書いた小説の1つです。
→ It is one of the novels (which/that) their son wrote.

 

次に、解説です。

おさらいですが、日本語の文を英語に訳そうとする際、「関係代名詞」が使われると思われる場合には、以下の手順を確認すると良いでしょう。

———————————

1. その日本語の文において、「主語+述語動詞」を含んだかたまり(形容詞節)が「名詞」を修飾していることを確認する。(ただし、「主語」が含まれず、「述語動詞だけ」で「名詞」を修飾していることもある。)

2. 「形容詞節」の部分のみを英語にしてみる。

3. 「形容詞節を除いた部分」を英語にしてみる。

4. 「3」の中にある、「形容詞節に修飾される名詞(先行詞)」がどれであるかを確認する。

5. 「2」で作られた英語表現を、「3」で作られた英文の中の「先行詞」の「後ろ」に置く。

6. 「関係代名詞」を選ぶために、「先行詞」を「人称代名詞」に置き換えてみて、それを「形容詞節」の中に入れ込み「独立した1つの文」を作る、ということを 頭の中で想定してみる。その際の人称代名詞が、「主格」「所有格」「目的格」「独立所有格」のどれになっているかを確認する。

7. 先行詞が「人」または「モノ」のどちらを表す言葉であるかを確認する。

8. 「6」と「7」が確認できたら、以下の関係代名詞の一覧表から関係代名詞を1つ選び、「5」で作られた英文の中で、「先行詞」と「形容詞節」の間に「関係代名詞」を入れる。

関係節内での働き=「主格」 関係節内での働き=「所有格」「独立所有格」 関係節内での働き=「目的格」
先行詞=「人」 who whose whom
先行詞=「人以外」 which (whose)
(of which)
which
先行詞=「人・モノの区別なし、あるいは文脈上特定されている語」 that that

9. 「6」の手順の際、「先行詞」を「人称代名詞」に置き換え、それを「形容詞節」の中に入れ込み「独立した1つの文」を作る、ということを想定した際に、その人称代名詞が、「動詞の目的語」として機能している場合には、関係代名詞そのものは「省略」されることが多い。

10. 「形容詞節によって修飾される名詞」について考えた時、会話や文脈上、それが「特定されている名詞」として解釈されるならば、その名詞の前に「the」を つける。「特定されていない名詞」として解釈されるならば、「可算名詞の単数形」の場合には「a(またはan)」をつける。あるいは、「特定されていない 名詞」として解釈され、その名詞が「可算名詞の複数形」や「不可算名詞」の場合には、その名詞の前には何もつけないか、あるいは、「漠然と、全体の一部」 であることを示したい場合にはその名詞の前に「some」をつける。
———————————

まあ、たくさんあって大変だと思うかもしれませんが、慣れればすぐにパパパッとやれるようになりますので安心してください。

1つずつ見ていきましょう。

1. これは去年私の父が北海道で撮った写真です。

まず、手順1について考えてみると、この文では「去年私の父が北海道で取った」という部分が「形容詞節」となり、「写真」という名詞を修飾している、と解釈することができます。

これにより、手順2と3を考えてみると、形容詞節の部分が「my father took in Hokkaido last year」となり、形容詞節を除いた部分が「This is a picture.」となります。

次に手順4と5をやってみると、「This is a picture my father took in Hokkaido last year.」となります。

次に、手順6,7、8を一気にやってみると、先行詞である「picture」を形容詞節の中に入れて見ると、「it」というモノを表す人称代名詞の「目的格」となり、「took」という動詞の目的語であることが分かりますので、関係代名詞は「which」か「that」となりますが、手順9について考えてみると「省略されるのが普通」ということなので、ここでは問題の指示に従ってカッコの中にいれます。

次に手順10について考えてみると、「私の父が北海道で取った写真」はおそらく1枚ではなく、何枚もあるのだろう、と想像することができ、さらに、この文では「これはその中のどの写真であるかを特定しているわけではない」と解釈することができますので、「可算名詞の単数形」である「picture」の前に「a」をつけることになります。

 

次に2番目の問題。

2. あなたは時には、考え方があなたと異なる人と話すべきだ。

まず、手順1について考えてみると、この文では「考え方があなたと異なる」という部分が「形容詞節」となり、「人」という名詞を修飾している、と解釈することができます。

これにより、手順2と3を考えてみると、形容詞節の部分が「way of thinking is different from yours」となり、形容詞節を除いた部分が「You should sometimes talk to someone.」となります。

ここで注意すべきは、「different from you」ではなく「different from yours」とすべきという点です。

次に手順4と5をやってみると、「You should sometimes talk to someone way of thinking is different from yours.」となります。

次 に、手順6,7、8を一気にやってみると、先行詞である「someone」を形容詞節の中に入れて見ると、「his」または「her」という「人」を表す人称代名詞の「所有格」となることが分かりますので、関係代名詞は「whose」となります。

そうすると、「You should sometimes talk to someone whose way of thinking is different from yours.」

次に手順10について考えてみると、ここでは先行詞は「someone」という代名詞なので、「a」も「the」も何もつけず、そのまま「someone」としておくことになります。

 

次に3番目の問題。

3. それは彼らの息子さんが書いた小説の1つです。

まず、手順1について考えてみると、この文では「彼らの息子さんが書いたという部分が「形容詞節」となり、「小説」という名詞を修飾している、と解釈することができます。

これにより、手順2と3を考えてみると、形容詞節の部分が「their son wrote」となり、形容詞節を除いた部分が「It is one of the novels.」となります。

次に手順4と5をやってみると、「It is one of the novels their son wrote.」となります。

次 に、手順6,7、8を一気にやってみると、先行詞である「novels」を形容詞節の中に入れて見ると、「them」というモノを表す人称代名詞の「目的語」となり、「wrote」という動詞の目的語であることが分かりますので、関係代名詞は「which」か「that」となりますが、手順9について考えて みると「省略されるのが普通」ということなので、ここでは問題の指示に従ってカッコの中にいれます。

次に手順10について考えてみると、「小説の1つ」と言っていますので、「彼らの息子さんが書いた小説」はたくさんある、ということが分かります。そして、「〜の1つ」という表現をする時には、英語では「one of the 〜」という形になり、「〜」の部分に名詞の複数形が入るのが普通です。

よって、ここでは「one of the novels」という形で表現されるのが自然となり、先行詞の「novels(名詞の複数形)」の前には「the」がついた形となります。

さて、いかがでしたか?
全部合っていましたか?

もう少し、練習しましょう。
以下、新しい問題です。

−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−
Q. 関係代名詞を使い、以下の日本語の文を英語に訳しなさい。関係代名詞が省略されるのが一般的な場合には、関係代名詞を省略せずにカッコの中に入れて表記しなさい。また、複数の関係代名詞を使うことが可能な場合には、スラッシュ(/)を使って列記しなさい。

4. 先週の金曜日のパーティーで私達に話しかけてきた男性はKenのお父さんです。

5. 僕が先日君に買ってあげたカバンはどうなったのですか?
(ヒント:「〜はどうなったのですか」は「〜に何が起きたのですか?」と置き換えて考えると良いでしょう。)

−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−

答え合わせは次回やります。
どうぞお楽しみに!