前回の続き>

前回は、音読や暗唱などの「アウトプット」を繰り返していると、それに対応する「インプット」の能力が高まる、という話を書きました。

美しい花の代表とも言える「バラ」。

この「バラ」という言葉を「漢字」で書く練習をたくさんした人は、「薇」という1文字を見ただけで、

「ああ、これはバラのラだよ」

と簡単に答えることができるということです。

ところが、「薔薇」と書くことができない人、書く練習をしていない人にとって、「薇」という1文字では、とっさには「バラのラだ」と言い当てることはできません。

これと同じで、「英文を声に出して読む」「英文をそらで暗唱する」など、英語の音をたくさん「アウトプット」した人は、その音が今度は「外から入ってきた」という瞬間にその音をしっかり認識できる(「インプット」できる)ということになるのです。

では「音読していない英文」や「暗唱していない英文」についてはどうでしょうか?

実は、ここが人間の不思議なところなんです。

普通、過去に音読も暗唱もしたことのない英文、つまりは「新しい英文」はしっかり認識できないだろうと思うことでしょう。

しかし、「過去に聞いたことのない英文」であっても、日頃から英語の音をアウトプットしている人は、そうしていない人に比べ、よりカンタンにインプットすることができるようになるのです。

例えば、私(久末)の場合。

デュープラー英語学院を設立する前から、英文の音読と暗唱は日々やっていました。

これを最初に始めたのは私が20歳の頃。

その約8年後に英語教室を立ち上げるわけですが、この8年間に私が暗記した物語の数は、だいたい20本くらい、加えて映画に関しては4本ほどです。

分量で言えば「めちゃめちゃ多い」というほどではありません。

しかし、同じ物語を、私は何度も何度も繰り返し音読したり暗唱したりしました。

そして、2001年にデュープラー英語学院を立ち上げてから新たに覚えた物語の数はおよそ15本ほど、映画はさらに2本ほどです。

これまた、それほど「多い」と自慢できるほどの量ではありません。

しかも、この中で私の「お気に入り」というものがあるわけで、そういうものは他の物語よりも優先的に頻繁に繰り返されます。

つまり、ほとんど同じ英文ばっかりを音読し、暗唱している、というのが私のこれまでの英語生活のほぼ全てです。

では、「音読したこともない英文」や「暗唱したこともない英文」については、まるで分からないのか?というと、そんなこともないのです。

実は、私は映画が大好きで、ケーブルテレビの映画チャンネルなどはほぼ毎日見てみます。

面白そうな映画がやっていると、途中からであろうと見入ってしまいます。

もちろん、音声は英語ですが、日本語の字幕も当然あります。

普通に、映画を楽しむ、という感じで映画を見るのです。

週に平均2本は映画を見ますから、一年では、ざっと100本近くは映画を見ている計算になります。(改めて数えるとすごいなあ、我ながら。。。)

これらの映画は、自分が過去に音読も暗唱もしたことのないものがほとんどです。

過去に私が覚えた映画はたったの6本程度。

しかし、前述した通り、私は日頃から自分の口を使って「英語の音」を出しています。

しかも自分のオリジナルの下手な英語ではなく、ネイティブが作って発音したものをお手本にした「本物に近い音」の英語です。

そういうことを何年も繰り返していると、聞いたこともないような単語が聞き取れてきます。

「聞いたことのない単語は聞き取れない」と豪語する人もいますが、そんなことはありません。

現に、私は、聞いたことのない単語を聞き取って、さらには「スペル」までも的確に当て、それをもとに辞書を引く、ということまでできます。

そんなことは信じられない、という人が、きっとこれをお読みの皆さんの中にもいらっしゃるでしょう。

でも、できるんだから、しょうがないです(笑)

もっとも、全ての単語でできるというわけではありませんが、それでも、自分の英語力アップの大いなる助けになっていることは間違いありません。

これは、「アウトプット」というハイレベルのことをやっている人間は、よりレベルの低い「インプット」ならばカンタンにやってのける、という良い例です。

どういう仕組みでそういうことができるのか、次回、もう少し詳しく解説します。
どうぞお楽しみに!

<続く>