<前回の続き>

(『誰でも「できる人」になれる!』シリーズのこれまでの記事一覧はこちら。)

前回、「優れた客観性を持つ人は、そうでない人に比べ、物事の理解や修得がはるかに速く、深くなる」と書きました。

私(久末)は、これまで累計で20年近く、人に英語を教えるという仕事をしてきました。

色々な生徒たちを観察しながら、「どんどんできるようになる人」と「なかなかできるようにならない人」の違いというものを探し続けました。

その結果、私が得た現時点での答えというものが、まさに「客観性」という言葉と言えます。

これは勉強だけの話ではありません。

仕事でも、勉強でも、スポーツでも、趣味でも、あるいは人とのコミュニケーションでも。

優れた客観性を持つ人は、そうでない人に比べて、「どんどんできるようになる」という傾向が見られます。

逆に、客観性に乏しく、「主観」が強い人ほど、「なかなかできるようにならない」という状況に苦しむというパターンが多く見られます。

「客観性」というのは、「自分の自然な見方」ではない、別の見方でものごとを観察することです。

では、客観性というのは、どのようにして持つことができるのでしょうか?

「客観」すなわち「客の目になって観察すること」ができるようになるためには、以下の2つが必要です。

1. 知識
2. 思考

「知識」だけでもダメ、「思考」だけでもダメです。

「知識を持って、考える」ということをしていくことによって、初めて人は「客観的」にものごとを見ることができます。

「客観」というのは、自分の「頭の中」に浮かべる映像です。

実際に目で見える映像(つまり主観)とは違います。

例えば、想像してみてください。

目の前に、ある物体があったとします。

ちょうど自分の目の高さで、自分が向いている方向の前方、自分からおよそ1メートルほど離れたところに浮いているとしましょう。

その物体は、自分からは「正三角形」に見えます。

しかしこれは立体ですから、全体的にどんな形なのかは自分からは分かりません。

自分は、その物体を「真横」から見ているわけですが、その物体の「真上」から見ている別の人物「Aさん」が次のように言いました。

「私からは、輪郭は円だが、その真ん中に線が一本見える。」

さて、これだけで、その物体がどんな形をしているのか、想像がつくでしょうか?

まだ無理ですか?

では、さらにもう一人、同じ物体を観察している人物「Bさん」がいたとしましょう。

自分がその物体を観察しているのが、仮にアナログ時計の「6時」の位置に当たるところだったとします。(その物体は、時計の文字盤の中心に位置しているとします。)

Bさんは、時計の「3時」の位置に当たるところから、この物体を見ています。

そして、Bさんは次のように言いました。

「私からは、輪郭はやや横に長い長方形に見えるけれど、その左上と右上の角の両方から、下の辺の真ん中にかけて曲線が見える。」

Aさんと自分、自分とBさん、AさんとBさんは、いずれもその物体を「90度異なる角度」から見ているということになります。

さあ、皆さんの頭の中には、この物体の形が浮かびましたか?

「情報」というものは、自分の頭の中に入ると「知識」となります。

そして、自分の頭に入っている「知識(=情報)」をつなぎ合わせていくことが「思考」です。

「知識」を使って「思考」を繰り返していくと、頭の中に「映像」を浮かべることができます。

そうやって、頭の中にできた映像は、言うなれば「客観性を用いて作られた映像」と言えます。

「知識(=情報)が足りなければ客観的にはなれません。

同様に、「思考」が足りなければ客観的にはなれません。

「知識」と「思考」が組み合わさって、はじめて人は「客観的」にものごとを観察し、自分の目では見えないものを見ることができるようになるのです。

「自分からは正三角形に見えるのだから、それは正三角形の物体に違いない。」と決めつけてしまうと、他の人からは別のものに見えた場合に「意見の食い違い」が生じます。

「自分からは正三角形に見えるけれど、他の人からも同じだろうか? AさんとBさんに尋ねてみよう。」という具合に、考えるための情報を獲得する努力をしていけば、意見の食い違いを防ぐことができます。

「客観的である」ということは、「自分から自然に見えたままの映像」をそのまま見るのではなく、他の人(=お客さん)から見たらどのように見えるのかを探り、頭の中で「映像を作り出すことができる」ということです。

これは「頭の中」の話ですので、現実とは微妙に違っているかもしれません。

しかし、知識の量が十分で、思考能力も十分ならば、現実とのギャップは少なくなります。

「どんどんできるようになる人」というのは、いわば、こうした「客観的な見方」に長けている人なのです。

知識の量が少なかったり、あるいは「考える」ということが苦手だったりすると、その分だけ客観的な見方ができなくなり、仮にできたとしても現実とのギャップが大きくなります。

自分の頭の中の映像と現実とのギャップが大きいほど、「勘違い」や「思い違い」をしたまま何かを観察したり、何かに取り組んだりすることになります。

そうなると、いくら「時間」をかけて努力しても、「なかなかできるようにならない」という悲しい思いをすることになります。

そうならないためにも、自分の中の「客観性」を高めていく努力が必要なのです。

さて、次回は「客観性」を高めるためにどのようなことをすれば良いか、さらに発展させて考えてみましょう。

どうぞお楽しみに!

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