<前回の続き>
「苦手を克服する」ために何が必要なのかを考えていくこのコーナー。
前回は「観察するポイント」を増やしていくことが、苦手を克服していく上で重要なのではないかということを書きました。
「苦手なこと」や「初めて挑戦すること」などを実践していく際、「観察するポイント」が多い人ほど、より早く、着実に身につけていくことができると思われます。
逆に「観察するポイント」が少ない人は、身につけていくのに長い時間がかかってしまったり、なかなか身につけていかなかったりします。
では、「観察するポイント」を増やしていくにはどうしたら良いのでしょうか?
例えば、AさんとBさんという二人の人物が同じ事柄を観察していたとします。
Aさんは、その1つの事柄を観察しながら、瞬時に「20個」もの観察ポイントを見つけられたとします。
一方Bさんは、その1つの事柄から、「1個」や「2個」など、ほんの少ししか観察ポイントを見つけられなかったとしましょう。
当然、観察ポイントが少ないBさんよりも、観察ポイントをより多く見つけることができたAさんの方が、その事柄について、より深く理解することができたり、より適切に人に伝えることができたりすることでしょう。
では、どうしてAさんは複数の観察ポイントを見つけられたのでしょうか?
また逆に、どうしてBさんは少ししか観察ポイントを見つけられなかったのでしょうか?
この「観察ポイントを探る能力」の個人差はどこからやってくるのでしょうか?
まず最初に私が思いついたのは、「自分にオーケーを出すタイミング」です。
「観察ポイント」を探る能力が高い人は、自分に対して、なかなか「オーケー」と言いません。
「まだまだ!」
というように、なかなか「オーケー」を自分に出さない人は、それだけ多くの「観察ポイント」を探ることができるようになります。
ところが、「観察ポイント」を探る力が弱い人は、簡単に「ま、いっか」と自分自身にオーケーを出してしまう節があるように思われます。
この「ま、いっか」という言葉によって、自分自身にオーケーを出すタイミングが早い人ほど観察するポイントが少なくなる、ということが言えるのではないでしょうか。
もう少し別の言い方をするなら、自分に「甘い」か「厳しい」か、と置き換えても良いかもしれません。
「自分に甘い(=オーケーを出すのが早い)」
「自分に厳しい(=オーケーを出すのが遅い)」
苦手を克服していくためには、どこかの時点で「自分に厳しい」ということをやらなくてはなりません。
「ま、いっか」ということを日常生活で当たり前にしてしまっている人は、いざ「ま、いっか」と言えないような状況になったとしても、なかなか「まだまだ」と粘り強く取り組むことができなくなってしまうのではないでしょうか。
日頃の癖というものは、急には変えられませんね。
日頃から「ま、いっか」ではなく、「まだまだ」と自分に言い聞かせる練習をたくさんしていれば、いざ「苦手なこと」に取り組まなくてはならなくなった時に「まだまだ」と自分に言い聞かせることができることでしょう。
人間、何事も「練習」すれば上手くなるものです。
「まだまだ」という口癖をつけていくことが、次第に「観察するポイント」を増やすことにつながるのだろうと思います。