私(久末)は職業柄、よく以下のような質問を受けます。

 

『自分の英語の実力をはかるのに、「TOEIC」と「英検」のどっちを受けたら良いの?』

 

おそらく、どちらも受けたことのない英語初学者がこのような疑問を抱くのでしょう。

皆さんならば、この質問にどのように答えますか?

 

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この問いに答えるには、まず、「TOEIC」と「英検」の違いを知る必要があります。

「TOEIC」と「英検」の最も大きな違いは、「スコア制」か「合否制」かの違いでしょう。

「TOEIC」は「スコア制」なので、「合格・不合格」というものはなく、必ず「○○点」という結果が点数となって得られます。

一方、「英検」は「合否制」なので、「合格か不合格か」というはっきりした結果が得られます。

「英検」も「点数」は出ますが、「不合格で○○点」といったスコアは、履歴書には全く使えません。

履歴書に書いたり、会社に報告する必要があるのだとしたら、英検の場合は「合格」でないと意味がありませんので、スコアは役に立たないということになります。

 

続いて、試験内容の違いです。

まず、英検の場合は、受験級によって難易度が異なりますね。

英検3級ならば「中学校卒業程度」ですし、英検2級ならば「高校卒業程度」ということになります。

そして、3級なら3級のレベルに合わせた問題が主に出題されます。当然、2級なら2級のレベルに合わせた問題が出題されます。

当たり前のようですが、これがTOEICとの違いです。

TOEICには「級」によるレベル分けがありません。

単に「990点満点」というものなのです。

この990点満点の中には、英検で言えば3級、あるいはもっと易しい内容の問題も含まれていますし、さらに易しい問題も含まれていることがあります。

その一方で、英検準1級や1級といったハイレベルな問題もまた、TOEICの990点の中に含まれてきます。

つまり、英検の場合は「自分の実力に近い問題ばかり」が出題されるのに対し、TOEICの場合は「自分の実力よりも易しい問題」と「自分の実力よりも難しい問題」の両方が出てくるということです。

例えば、英検準1級程度を取得できるような人の場合には、TOEICを受験してみると「自分の実力よりも難しい問題」の方が少ないでしょう。

ところが、英検3級程度の実力の人がTOEICを受験した場合には、「自分の実力よりも難しい問題」の方がたくさん登場してくるわけです。

そうなると、TOEICの試験が終わった後で、「あ〜、自分は全然ダメだなぁ」と落胆してしまう可能性が高いということになります。

そればかりか、TOEICの試験中であっても、本当ならば易しいはずの問題までも難しく見えてしまい、「これは引っかけか?」と思ってしまってわざわざ違う答えを選んでしまって不正解となる、ということもあり得ます。

 

さて、最初の質問に戻りましょう。

『自分の英語の実力をはかるのに、「TOEIC」と「英検」のどっちを受けたら良いの?』

この問いに対する答えは1つにはなりません。

ですが、敢えて答えを述べるとしたならば、私ならば次のように言います。

『自分の実力が英検3級に届くかどうかという程度ならば、まずは英検を目指すべきです。TOEICを受験しても良いですが、難しい問題の方がたくさん出てくることを覚悟しましょう。』

『自分の実力が英検2級に届くかどうかという程度ならば、英検を受験しても良いし、TOEICを受験しても良いですが、TOEICには自分の実力よりも難しい問題がたくさん出てくるので、それに惑わされないようにしましょう。』

『自分の実力が英検準1級に届くかどうかという程度ならば、英検も受け、同時にTOEICも受験しましょう。』

TOEICは、受験を重ねることで自分のスコアの推移を見ることができるというメリットがあります。

長い目でみて自分の成長ぶりを知るためには、英検よりはTOEICの方が良いですね。

以上、参考になれば幸いです。

 

<おしまい>