(「残念な英語学習法」シリーズ過去記事はこちら)
前回、「大人になってから英単語をやり直すならば、英検3級までの単語を復習しましょう」ということを書きました。
なぜならば、英語の基本となる単語は「中学校で習う単語」であり、それは英検で言えば3級レベルの単語だからです。
英検3級の単語がとっさに出てこないようでは、いくら上級の単語を知っていても、英文を簡単に作れるようにはなりません。
英語を習得する上で、まず最初に大事なことは「英文を簡単に作れるようになること」です。
今回は、英検3級の単語をどの程度までやれば良いのかという点について考えてみます。
<アメブロからの続きはここから>
人が何かを「思い出そう」とする時、簡単に思い出せるものもあれば、簡単には思い出せないものもありますね。
記憶喪失にかかっているなどの事情がない限り、誰でも「自分の名前」や「家族の名前」は簡単に思い出せます。
または「自分が通っていた学校の名前」や「親しい友人の名前」なども思い出せるでしょう。
その一方で、「時々テレビに出てくる役者さんの名前」や「なじみの薄い国の都市名」などは、簡単に思い出すことができません。
「思い出す」という行為が簡単にできるかどうかというのは、「思い出す頻度」に関係があります。
「思い出す頻度」が多ければ多いだけ、そのことを思い出すのが簡単になります。
逆に「思い出す頻度」が少なければ、思い出すことが難しくなります。
かつて、携帯電話というものが一般的に普及していなかった時代には、仲の良い友人に連絡を取るには「家に電話する」という方法がよくとられていました。
自分の指で、何度も繰り返し同じ電話番号を押していると、そのうち、その電話番号をすっかり覚えてしまいます。
すっかり覚えてしまっているのですから、仮に外の「公衆電話」からでも、その友人の家に電話をかけることができたものでした。
ところが、携帯電話が普及した今はどうでしょうか?
今では、一番仲の良い友人ですら、その電話番号を「自分の指で押す」ということはほとんどありません。
自分の携帯電話に登録されたアドレス帳や通話履歴などから、その友人の「名前」を見つけさえすれば、あとは勝手に電話番号が表示されますので、「自分の指で電話番号を押す」という必要がありません。
その結果、一番仲の良い友人の電話番号も全く覚えていない、ということになります。
ひどい時には、「自分の携帯の番号も覚えていない」ということもあります。
これはつまり、「繰り返したものは自分に定着し、繰り返さなかったものは定着しない」ということを意味しています。
あるいは、こんな例はどうでしょう。
大人になると、小学校時代の友人との付き合いがほとんどなくなってしまう人は多いことでしょう。
1学年に何百人といたような小学校だった場合、「思い出せるクラスメート」と「思い出せないクラスメート」では、前者の方が圧倒的に少ないはず。
では、「思い出せる人」と「思い出せない人」では、何が違うのでしょうか?
きっと、何年も会っていないクラスメートを今も思い出せるとしたならば、小学校時代、その人と一緒に過ごした時間がとても長く、付き合い方も深かったのでしょう。
一緒に遊んだり、よく話をしたり、あるいは、よく喧嘩をしたり、嫌なことをされたり、あるいは片思いをしていたり。
その当時に「深い関わり」を持ったからこそ、何年、何十年と経った今も、その人のことを思い出せるのです。
では、思い出せない人は、もうすっかり忘れてしまったのでしょうか?
いいえ、もしかしたら、写真を見れば、あるいは名前を言われれば、「ああ、そんな人いたねぇ」と思い出せるかもしれません。
「人に教えてもらえれば思い出せる」というのと、「人に言われずとも、自分から思い出すことができる」というのは、同じことではありません。
「深い関わりを持った人」は、「小学校時代の友人を思いだそう」とした時に、何の抵抗もなく思い出せます。
しかし、あまり関わりを持たなかった人は、「小学校時代の友人を思い出そう」としても、恐らく名前が挙がらないでしょうし、あるいは、その存在すら自分の頭の中から消えてしまっているかもしれません。
このことを英単語の学習にあてはめて考えてみましょう。
中学校で習う英単語は、ほとんどがとても簡単なものです。
大人になってから、英検3級の単語集を買ってきてパラパラとめくってみると、「だいたい知っている」という印象を持つかもしれません。
しかし、「言われれば思い出せる」という程度のものだとしたら、それは、「いざという時に、自ら思い出すことができない」という可能性があります。
前回も書きましたが、中学校で習う英単語というものは、英語を使う上では必須の単語と言えます。
1つ文を作ろうと思った時に、中学校で習う英単語を使わずに済ませることはほぼ不可能です。
ということは、「言われれば思い出せる」という程度で終わってはいけない、ということです。
中学校で習う英単語、つまり英検3級までの単語については、「知っている」というレベルではなく、「仲良くなった」というレベルにまで深い関わりを持たなくてはなりません。
「言われなくても、自分から思い出すことができる」というレベルになるまで、1つ1つの単語を使って、何度も遊んだりおしゃべりしたりして、「仲良くなる」ということが必要なのです。
英検3級までの単語と仲良くなれば、「言われれば思い出せる」どころか、「英文を作ろうとした時に、すぐに自分から思い出せる」ようになります。
だから、単語帳をパラパラとめくって「知っているか、知らないか」という基準で単語学習を進めるのではなく、「仲が良いと言えるまで一緒に遊んだか、遊ばなかったか」という基準で学習を進めていくと良いでしょう。
何度も単語のスペルを紙に書いたり、声に出して発音してみたり、実際にその単語を使っていくつもの英文を作ってみたり。
そうやって、「何度も繰り返し、深い関わりを持つ」ということを徹底的にやることが大事なのです。
「知っているか知らないか」という浅い付き合い程度で終わってしまうような学習は、いざという時に使えない、とても残念な学習法と言えます。
<続く>
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