前回、「現在完了」の「1. 完了」と「2. 結果」について説明をしました。

「現在完了」には、「1. 完了」「2. 結果」「3. 経験」「4. 継続」という4つの意味があり、この中で特に理解が難しいのが「1. 完了」と「2. 結果」です。

この2つは、どちらも、「過去の動作によって、現在の状態がこうなっている」ということをそれとなく相手に伝えるような表現です。

「それとなく」というのがポイントで、「はっきりとは伝えていない」ということになり、それが難しさを誘発していると言えます。

今回は、現在完了の「2. 結果」が、「過去形」とは何が違うのかという点についてご説明します。

 

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前回も書きましたが、現在完了の「2. 結果」という用法は、日本語に訳すと、「まるで過去形と同じ」ような表現になることがあります。

 

★ 私は私の財布をなくした。

 

この表現は、日本語で読む限りでは「過去形」として解釈されそうです。

しかし、英語では、これを「過去形」だけでなく、「現在完了の結果」として表現することもできるのです。

(1)  I “lost” my wallet.【過去形】

(2)  I “have lost“my wallet.【現在完了の結果】

逆に言えば、どちらの英文も、日本語にすれば「私は私の財布をなくした。」となります。

敢えて「(1) 過去形」と区別するために、「(2) 現在完了の結果」の方を「私は私の財布をなくしてしまった。」としても良いですが、「なくした」と表現しても間違いということにはなりません。

このように、どちらも「過去形」のような表現になってしまうものですから、日本人にとって、「過去形」と「現在完了の結果」の表現は区別しにくいのです。

両者が同じような日本語の表現になってしまうのは、どちらも「過去のある1時点で動作が行われた」という点が共通しているからです。

この共通点を認識した上で、両者の「違い」について確認してみましょう。

 

「現在完了の結果」と「過去形」では、異なる点が「2つ」あります。

まず1つ目。

それは「現在のことについてそれとなく述べているか、述べていないか」という違いです。

「現在完了の結果」を使った場合は、「現在完了」の形式として「have(あるいはhas)+過去分詞」という形となっており、そこで使われる「have」や「has」が「現在形」となります。

このことから、「現在完了の結果」の場合は、「今は、こういう状態になっていますよ」ということを、「それとなく」伝えることになります。

上記の例で言えば、「財布をなくしたのは過去のことだが、財布は、今もまだ手元にはない状態のままである」ということになります。

「財布をなくす」という動作があったならば、その動作の直後に「財布は手元にはない」という状態が生まれるということがそれとなく表現されます。

「現在完了の結果」の表現では、「動作の直後に生じた状態が、今現在も変わらずに続いている」ということをほのめかすことになるのです。

ところが「過去形」の場合は、「現在」へのつながりは表現できません。

従って、「過去形」として表現された場合には、「現在がどうなっているか」をほのめかす(それとなく伝える)ということができないのです。

「現在のことについてそれとなく述べている」ように表現したければ「現在完了の結果」を使い、逆に「現在のことについては触れない」ように表現したければ「過去形」を使う、ということです。

 

続いて、両者の違いの2つ目。

2つ目は、その動作に対して「*どれくらい前*のことであるかを示す表現を添えることができるかどうか」という点です。

「過去形」は「その動作が行われた時点のみの話」について述べる表現ですから、その時点が「どれくらい前」であったのか、ということを述べる表現を添えることができます。

「どのくらい前」なのかを表す表現としては、まず「〜 ago」という表現が挙げられます。

また、「〜 ago」に置き換えることができる他の表現、例えば「last 〜」や「on+日付」や「in+月」や「in+年」などの表現も過去形に添えることができます。

例えば、上記の例で言えば、

■  I lost my wallet *two days ago*.

■  I lost my wallet *last Friday*.

■  I lost my wallet *on March 1*.

■  I lost my wallet *in February*.

■  I lost my wallet *in 2014*.

などの表現が可能ということです。

これに対し、「現在完了」を使った表現では、上記の「〜 ago」や「last 〜」や「on+日付」や「in+月」や「in+年」などの表現を添えることはできません。

なぜなら、「現在完了」というのは、繰り返しますが「have(あるいはhas)+過去分詞」という形で表現されるため、動作のものが「過去のこと」であったとしても、結局は「現在」のことについて述べているからです。

従って、「過去形」では「〜 ago」など、「どらくらい前なのか?」を表す言葉を添えることができますが、「現在完了」ではそれができない、ということになります。

ちなみに、「When 〜?」という疑問文を作るならば、これも「どれくらい前?」という意味に置き換えることができますので、「過去形」は可ですが、「現在完了」は不可ということになります。

 

「過去形」と「現在完了の結果」は、日本語で表現すると同じになってしまうことが多く、混同されがちですが、「過去の1時点のことのみを述べている」のか、それとも「現在のことについてもそれとなく述べているのか」という違いを明確に理解しておくと良いでしょう。

さて、次回は、もう少しだけ、「現在完了の結果」と「過去形」の違いについて補足説明します。

どうぞお楽しみに!

 

<続く>

 

 


 

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