人が何かを学習したり、身につけていくには「個人差」というものがあります。

私の教室の生徒達を見ていても、そういう「個人差」を感じます。

「その違いが何に起因するのか」と自分に問いかけ続けて早十数年。

なんとなく見えてきた部分もあれば、未だに謎の部分もあります。

そのうち、なんとなく見えてきた部分の1つに、「なるほどの数」というものが挙げられます。

学習の「スピード」が速かったり、身につける「深さ」が深い人に共通しているのは、どうやら、「なるほどの数」が多い人のようです。

逆に「なるほどの数」が少ない人は、スピードも遅く、身につける深さも浅い、という共通点があるようです。

ここで私の言う「なるほどの数」というのは、日常的に「なるほど」と思う回数のことです。

「なるほど」と思うこと。

あなたは、一日に何回くらいありますか?

少ない人は、一日に「0回」ということもあるでしょう。

「0回」が当たり前で、「なるほど」と思うことはめったにない、という人もいます。

その一方で、ほとんど毎日「なるほど」と思うことに出会っている人もいます。

そして、「なるほど」と思う回数が多い人ほど、何かを学習したり身につけたりする時に、スピードが速く、深さも深いのです。

ただし、「なるほど」という言葉にも2通りあるように思います。

それは、何かに対して「なるほど」と思う前に、そのことについて「あらかじめ自分で疑問を持っていたかどうか」という違いです。

自分で疑問を持っていなかったことについて、他人の話を聞いたり、あるいは何かについて指摘されたりして気づく、ということがあります。

そういう場合、自分から疑問を持っていたのではなくても「なるほど」という言葉が出てくることがあります。

しかし、そういう「なるほど」には、なかなか頻繁には出会えません。

ところが、もう1つの「なるほど」は違います。

最初に「自分の中で疑問を持っている」という場合には、同じ「なるほど」でも、その深さが全然違います。

疑問を持っている人が、自分の頭の中で考えたり、他人の話からヒントを得たり、あるいは目の前の出来事や現象を観察して気づいたりして出てくる「なるほど」は、疑問を持たないで出てくる「なるほど」よりも、はるかに強い衝撃としてやってきて、そして自分の中に深く残ります。

何かを学習したり、身につけようとしたりするとき、最初に自分の中に「疑問」を持って取り組んでいくと、「なるほど」に出会う機会が増えるのです。

そして、「なるほどの数」が多いほど、そのことが深く残っていくのです。

人には「忘れる」という能力もありますから、「深く」残っていないことは、時間の経過に伴って、だんだんと薄れてしまいます。

ところが、「なるほど」という言葉によって深く残ったことは、時間が経ってもなかなか消えていきません。

なかなか消えていかないのですから、普通の人が「忘れては覚え直す」ということを繰り返しているうちに、「次々と新しいことを学習していく」ことができるのです。

「なるほどの数」が多い人は、こうして、学習のスピードを速め、さらに身につける深さを深めていくのです。

では、「なるほどの数」を増やすにはどうすれば良いでしょうか?

次回はその辺りについてご紹介します。

どうぞお楽しみに!

<つづく>

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