先週から「映画を楽しみながら英語を学ぶ方法」というテーマで連載記事がスタートしました。
(前回の記事はこちら。)

「映画」というものとどのように付き合ってきたかというのは、人それぞれ異なります。

私(久末)はかなりの数の映画を見てきた方だと思いますが、その一方で、「映画はほとんど見ない」という人もいます。

さらに言えば、外国の映画を見るときに「字幕派」の人もいれば、「吹き替え派」の人もいます。

映画との付き合い方というものは、「英語学習」に対する意識に少なからず影響してくるように思います。

今日はそのあたりについて考えてみたいと思います。

 

<アメブロからの続きはここから>

 

私がまだ小学生だった頃は、まだ「ビデオ」というものは世の中にそれほど普及していませんでした。

なので、「映画」を見る方法というのは、「映画館に見に行く」「テレビ放送を見る」かの二択しかありませんでした。

そして、「映画館ならば字幕」であり、「テレビ放送ならば吹き替え」というのも当然のことでした。他に選択肢はありませんでした。

しかし今では、「ビデオ」がさらに発展して「DVD」となり、さらには「インターネット」などの回線を利用したサービスを使って映画を見ることができるようになりました。

「DVD」などでは「音声言語」を選択できますし、さらに「字幕の有無」や「字幕の言語」も選択できます。

また、「映画館」であっても、今では「字幕」か「吹き替え」かを選ぶことができるようになっています。

私が子供の頃にはなかったような選択肢が、今はたくさんできたと言えます。

しかし、選択肢が増えたことによって、「字幕で映画を見たことがない」という人が出てきたように思います。

「字幕で映画を見たことがない」というのは、かつては「映画館に行って映画を見たことがない」ということを意味していました。

ところが、「映画館」に行ったことがあっても、「字幕」で映画を見たことがない、つまりは「英語の音声」で映画を見たことがないという人が出てきたのです。

 

先週の記事でも書きましたが、「映画」というのは、日本国内において「生きた自然な英語」に触れることのできる数少ない機会の1つと言えます。

今の世の中、書店に行けば、「音声CD付き」の英語のテキストはたくさんありますが、それらはいずれも「作られた英語」であり、私に言わせれば「日常的に使われる自然な英語」とは違っています。

しかし「映画」の中の「英語」は、本当に「日常的に使われる自然な英語」です。

ネイティブが日本人を相手に手加減して表現するような英語ではなく、「ネイティブ同士」が遠慮なくやりとりするような、そういう「生きた自然な英語」です。

外国にでも行かない限り、日本国内ではそのような「生きた自然な英語」に触れることができることはなかなかできません。

それを可能にしてくれるのが「映画」なのです。

 

少し話がそれましたが、小学生頃から映画館に行って「字幕」で映画を見ていた私は、英語がよくわからないながらも、「これが英語かぁ」というように、なんとなく「日本の外の世界」というものを感じていたように思います。

子供にとっては、字幕で映画を見ていると、音声は「英語」なので何を言っているのかさっぱりわからないでしょう。

しかし、「さっぱりわからない英語」でありながら、「この言語が世界で使われているのだな」ということを漠然と認識することはできます。

小学生のうちに「生きた自然な英語」に触れていると、「中学校」に入る頃に学校で習い始める英語というものが、少しは身近に感じられるのではないかと思います。

そして、中学生以降、大人になった後でも、「字幕(=英語の音声)」で映画を見続けている人は、その分、「英語」に対する抵抗も少なくなることでしょう。

ところが、「字幕」を嫌い、「吹き替え」ばかりを好んで映画を見ている人は、「英語」に対する抵抗が大きくなってしまうかもしれません。

「英語」を少しでも学ぼう、あるいは子供に学ばせようと思うのならば、映画を見るときには「吹き替え」ではなく「字幕」を選んでみましょう。

最初は「さっぱり分からない」としても、それが当たり前です。

どんな言語であっても、最初は「さっぱり分からない」という状態から始まるのですから。

 

<おしまい>