日本人が英単語を覚えようとする時、当然、「日本語」に置き換えて覚えることでしょう。
しかし、単に「日本語」に置き換えてしまうと、その英単語の「本来の意味」が失われてしまうことがあります。
英単語の「本来の意味」がよく見えるような日本語に訳しておくと、実際に英語で文を作ろうとする時にとても役に立ちます。
さて、今日は「almost」という言葉について考えてみましょう。
英語を学習している人の中には、「almost」を「ほとんど」という日本語に置き換えてしまっている人も多いことでしょう。
しかし、「almost=ほとんど」と覚えてしまうと、とんでもなくおかしな英文を作ってしまう可能性があります。
では、「almost」はどのように解釈すれば良いでしょうか?
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まず、「almost」は「すんでのところで届いていない」ということを表す言葉です。
「すんでのところ」というのは、「ギリギリ直前」ということです。
ギリギリ直前まで来ているけれど、わずかに届いていない、ということを表す場合に「almost」が使われます。
「almost」が「動詞」を修飾する場合には、たいてい「過去形」で使われ、「もう少しで〜するところだった」という意味になります。
つまり、「その動作をするギリギリ直前までいったけれど、結局しなかった」ということになるのです。
この場合の「almost」を「ほとんど」という日本語に置き換えてはいけません。「ほとんど」としてしまうと、全く違う意味になってしまいます。
例1: I almost forgot about it.
この文の意味は「私はそれについてほとんど忘れた」ではありません。
そうではなく、「私はそれについてもう少しで忘れるところだった」という意味なのです。
「忘れるギリギリ直前までいったけれど、結局は忘れなかった」ということを表しているのです。
これを「ほとんど忘れた」という日本語に訳してしまうと、「almost」の「結局は忘れなかった」という意味合いとは逆の意味となってしまいます。
では、「almost」を「ほとんど」という日本語として覚えている人が多いのはなぜでしょうか?
それは、「almost」が「形容詞」や「副詞」を修飾する場合に「ほとんど」という言葉が使われることがあるからです。
「almost」が「形容詞」や「副詞」を修飾する場合も、やはり「すんでのところで届いていない」ということを表します。
例2: The little kitten was almost dead when I found it.
この文では、「almost」は「dead」という形容詞を修飾しています。
「dead」は「死んでいる」という状態を表しますが、それに対して「almost」と言っているのですから、「死にそうになっているけれど、死んではいない」ということを表します。
このような場合は、「almost」を「ほとんど」という日本語に置き換えても問題ありません。
ですが、その意味での「ほとんど」には「ほとんど死にかけている、死んではいない」という意味合いがあるということを理解しておくと良いでしょう。
また、「almost」が副詞を修飾する場合も似たような感じとなります。
例3: Where are we?/ We are almost there.
この文では、「almost」は「there」という副詞を修飾しています。
「almost」がなければ「We are there.」となりますが、そうすると「私達はそこにいる。」という意味になります。
ある場所から移動していて、目的地に到着しようとしているとします。
「目的地」に到達した時点で「We are there.」と言えるわけですが、目的地のギリギリ直前まで来ているけれど、まだ到達していない、ということを表す意味で「almost」が使われているのです。
なので、この英文は「もうすぐ到着するよ」ということを伝えたいわけです。
この場合に「almost」を「ほとんど」という日本語に置き換えてしまうと、「私達はほとんどそこにいる。」となってしまいます。
この日本語だと、「私達の全員ではないけれど、ほとんどそこにいる」という意味に解釈されてしまうかもしれません。
やはりここは「ほとんど」という日本語で表現しない方が良いでしょう。
このことは、「英語を日本語に訳す」場合に限った話ではありません。
「日本語から英文を作る」ということをする際にも「ほとんど」という言葉を「almost」にしてしまう日本人がたくさんいます。
例えば、「ほとんどの生徒が外で遊びました。」という日本語があったとします。
「ほとんど=almost」というように機械的に覚えている人は、「Almost students played outside.」のようなおかしな英文を作ってしまいます。
「almost students」という言い方は、英語としてはとても奇妙です。
「ギリギリ学生だけれど、結局は学生ではない存在」という意味になってしまうからです。
「almost」はあくまでも、「すんでのところで届いていない」ということを表すということをしっかりとイメージしておくようにしましょう。
◎まとめ
「almost」の基本的な意味は「すんでのところで届いていない」です。「almost」が動詞を修飾しているならば「もう少しで〜するところだ(った)」のような意味となります。また「almost」が「形容詞」や「副詞」を修飾しているならば、「ほぼ〜な状態だけれど、その一歩手間である」ということが分かるような日本語に置き換えるようにしましょう。「almost=ほとんど」というように機械的に覚えていると、とんでもなく奇妙な英文になってしまうこともありますので気をつけましょう。