この前の水曜日に配信したメールマガジンで、「figure」という語について解説しました。

で、前回、このブログで「I can’t figure out what he said.」という例文を挙げたのですが、これの意味について補足を書きます。

「figure」という言葉のイメージは、メールマガジンで説明した通りです。

このイメージをもとにして、「figure out」という表現について考えてみましょう。

「figure」は、動詞としては「計算する」「図形を描く」「考えをまとめる」「はっきりと理解する」というように、いずれも「はっきりと境界線を引く」や「曖昧さを排除する」という根本の意味から派生しています。

これを「figure out」という表現に当てはめてみると、「はっきりとした形になっていないものを、はっきりとした形として外に出す」ということになります。

I can’t figure out what he said.

という文では、「what he said(彼が言ったこと)」という部分が、そもそも「はっきりした形として捉えることができないものである」という含みがあります。

そして、そのはっきりしないものを、「out(外)」に向けて「figureする(はっきりさせる)」ということなので、日本語に置き換えると、

「はっきり理解する」
「きちんと整理する」
「うまくまとめる」

などのようになります。

ところが、英和辞典で「figure out」を調べると、「理解する」や「分かる」は載っていますが、「きちんと整理する」や「うまくまとめる」という訳語は書かれていません。

こうなると、次のような英文を日本語に訳す際に困ってしまいます。

I couldn’t figure out what to say about it.

このような場合の「figure out」は「理解する」や「分かる」や、あるいは「計算する」の意味ではありません。

自分の頭の中にあるものを「理解できない」とか「分からない」と言っているのではないのです。

ここでは、自分の頭の中にあるはっきりしないものを、「うまく表現する」という意味になるのです。

このように、「figure」という言葉のイメージを、メルマガで解説したような形でつかんでおくと、辞書に書かれた「日本語への単なる置き換え」で対応できないような場合にも対応できるようになります。

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