これまでにここでご紹介してきた「時間をうまく使う方法」ですが、これを実践するのは本当に難しいものです。
しかし、これを見事に実践している人も、世の中にはいるのです。
私の元上司もそうでした。
私自身は、と言えば、ここでえらそうに書いておきながら、完全に実践するには、今でもやっぱり難しさを感じます。
これをお読みの皆さんも、ここで書かれていることを実践しようとしてみて、なかなかうまく行かないと感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
では、何がどう難しいのでしょうか?
まず、何度も書いていますが、最も難しいことの1つに、「自分の価値観を見直す」ということが挙げられます。
自分の価値観に「極端な偏り(かたより)」があれば、どうしてもバランスの良い時間采配ができません。
極端でなくても、誰しも価値観に「偏り」というものはあります。
そういう自分の価値観を見直す、ということは誰にとっても容易なことではありません。
そして、もう1つ難しいことがあります。
それは、これまでにあまり触れてこなかった「イレギュラーな仕事」というものです。
「イレギュラー」というのは、英語では「irregular」と書かれます。
これは「regular(定期的の、通常の、決まった)」という意味の語に接頭辞「ir-」がくっついた「反対語」です。
つまり、「イレギュラー」は「レギュラー」の反対の言葉で、「不規則の、異常な、定まらない」という意味の言葉なのです。
そこで、ここでは、「イレギュラーな仕事」を「突発的で、予測していなかった仕事」というように解釈することにしましょう。
イレギュラーな仕事には、いくつかのパターンがあります。
1. 自分への電話
2. 予想外の訪問客
3. 上司からの命令による新たな仕事
4. 同僚などからの頼まれ事
5. お客様や取引先からの突然の要望
6. 自分が犯したミスの処理
7. その他、緊急事態の発生
このうち、「1. 自分への電話」に関しては、既に前に「時間をうまく使う方法(15)」で書きました。
(記事はこちら。)
では、2以降はどうでしょうか。
イレギュラーな仕事が発生した時には、まず第1に、次のことを考えると良いでしょう。
★ 断ることができるかどうかを判断する。
イレギュラーに発生した仕事だからと言って、全てを実際にやるべきか否かを判断しなくてはなりません。
時には「やりません」と断ることが出来るものもあります。
例えば、上の2~7のうちで言えば、「2」「4」「5」については「断ることができるかどうか」を判断する余地がある場合もあります。
「2. 予想外の訪問客」の場合、仕事の関係者で断ることのできない人の訪問という場合もあるでしょうが、時には「飛び込みの営業マン」など、こちらの方が立場的に強いということもあります。
そういう時に、きちんと「忙しいので対応できません」や「アポイントなしの方は取り次ぎません」というようにハッキリ拒否することが重要です。
忙しいのに自分の意志の弱さが原因で断ることができず、「相手に悪いな」と思ってついつい話を聞いてやってしまうと、結局は自分の時間を無駄にするだけでなく、相手の時間も無駄にしてしまいます。
「4. 同僚などからの頼まれ事」や「5. お客様や取引先からの突然の要望」も同じです。
断ってしまうことで、後々の自分の立場が悪くなるなどのデメリットがあるかもしれません。
しかし、断ったからと言って、あるいは「すぐに対応できない」と伝えたからと言って、自分の立場が悪くなるとは限りません。
引き受けるにせよ、「今すぐはできません」と断ることも、時には必要なのです。
しかし、イレギュラーな仕事の中には、「断ることができず、かつ、緊急に対応しなくてはならない」というものがあります。
上の例で言えば、「1」「2」「3」「6」「7」などでしょうか。
「断る」という選択肢が絶たれ、「今すぐ」やらなくてはならないような仕事。
こういうイレギュラーな仕事があるがために、自分の思い通りのスケジュールで仕事を進めることができなくなるのだと言っても過言ではありません。
では、こういうイレギュラーな仕事はどのように処理していけば良いでしょうか。
次回、もう少し深く考えてみましょう。
<続く>