前回のイントロダクションを書いてから「続きはまだか!」というお言葉を読者の方から頂いてしまいました!
お待ちくださっていた皆様、お待たせしましてすみません。
他のテーマと入れ替えで、週1回のペースで進めていくことになるかと思いますのでご了承くださいますようお願い申し上げます。
さて、「話し上手のルール」をご紹介するこのコーナー。
ご紹介、と言いながらも、私も「話し上手」になりたい一人ですから、これについて考える「きっかけ」を読者の皆様と共有したいと思っています。
まず、「話し上手」になるルールとして、私が真っ先に挙げたいのは次の点です。
◎見えないところを見る力を鍛えよう
この「見えないところを見る力」というものは、「相手に伝わるように話す・書く」ためには絶対的に必要な力と言えます。
「見えないのに、そこを見るなんて、できるの?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、健康で常識的な人間なら誰でも「見えないところを見る力」というものを持っているのです。
例えば、下の写真をご覧ください。
これは私の教室にあるミニ地球儀です。
少し文字が小さいかもしれませんが、地球のどの辺りが見えているか、お分かりでしょうか?
仮にこの地球儀の向こう側に誰かがいて、その人もこの地球儀を見ているとしたなら、その人が地球のどの辺りを見ているかを「当てる」ことができるでしょうか。
ちょっとやってみてください。
念のために、この写真でこちらから見えるものを書きますね。
まず、ちょうど真ん中あたりには「台湾」があります。
その上の方へ目を移すと「朝鮮半島」があり、その右隣には、少し色が薄くて分かりづらいかもしれませんが、「日本」があります。
当然、「中国」「モンゴル」「ロシア」も見えます。
下の方に行くと、「フィリピン」「インドネシア」「マレーシア」などの東南アジアが見えます。
さらに下の方には「オーストラリア」も、全部ではありませんが見えますね。
左の方には「インド」が見えます。
そして、右半分は、ほとんど「太平洋」です。
この状況から、自分が見ているものとは「全くの反対」を見ている人がいたとして、その人が「何を見ているのか」を当ててみる、ということです。
さあ、いかがでしょうか?
これを当てるために必要なのは、
1.世界の地理の知識(情報量&知識量)
+
2.複数の情報を頭の中でつなげる力(思考力&想像力)
の2つです。
この2つの力があれば、「反対側にいる人が何を見ているのか」を想像し、当てることができます。
「見えないところを見る力」があれば、人に話をする際に、聞いている相手が頭の中で「何を思い浮かべ、どこまで理解しているのか」を想像することもできるのです。
そうやって、話が上手な人は、「聞いている相手の様子」を想像することで、自分の話を理解してもらえるように「調整をする」ということを実践しています。
また、「見えないところを見る力」というものは、「相手に理解してもらう」だけでなく、「自分の方が相手の言っていることを理解する」という場合にも重要な役割を果たします。
こちらが伝えようとしていることが、なかなか相手に伝わらないことは誰にでもあります。
そんな時、「相手がどうして理解してくれないのか?」ということを、地球の裏側を当てるのと同じように、「情報量&知識量」+「思考力&想像力」を使って探ってみると良いのです。
もちろん、地球儀を裏から見たものを当てるようにカンタンにはいかないかもしれません。
まずは話を聞いている人がどんな能力や経験を持っているのか、どんな価値観を重視しているのかなど、相手を「よく観察する」ということが大事です。
相手をよく観察し、相手に関する「情報」を得ないことには「見えないところを見る」ことはできません。
それに加えて、「思考力」や「想像力」を発揮させる必要もあります。
特に、相手に対して「否定の心」があるうちは、相手が見ているものを当てることはできません。
話を聞いてもらう相手のことを「肯定」するからこそ、「偏りのない思考や想像」ができるのです。
話をしても通じないのは、理解をしてくれない相手だけのせいではありません。
相手が見ているものでもこちらに見えないものがあるのです。
だからこちらにとって「見えないところを見る」という力が、話し上手になるにはとっても大事なのです。
さて、次回はもう少し「見えないところを見る力」がどのような場面で使われるか、具体的な例と共に考えてみましょう。
どうぞお楽しみに!
<続く>