今回から「音声」に関する話に入ろうと思いましたが、その前に、まだ「文法」に関することでお伝えしたいことがありました。
「文法」を学ぼうとする時、わりと多くの人がやってしまっている「まずいやり方」があります。
それは、「文法項目」というものをバラバラに学ぼうとしてしまうというやり方です。
「文法」というものは、たくさんの「文法項目」がまとまったものです。
喩えるならば、「木」がたくさんまとまったものを「森」と呼ぶ、ということに似ています。
1本1本の木が、言うなれば「文法項目」ということであり、それがまとまったものを全体的に捉えたものが「文法」ということです。
文法の森の中では、1つ1つの木にあたる「文法項目」が、他の文法項目との「関係性」を保ちながら機能します。
決して、1つの文法項目が独立して機能するというわけではありません。
従って、文法項目を1つ1つ学びながらも、その文法項目が「他の文法項目とどのような関係性を持っているのか?」ということを意識すべきです。
そうした意識を持たず、1つ1つの文法項目を「独立したもの」として扱っているうちは、「文法の全体像」というものがいつまでも見えてきません。
例えば、「be動詞」という文法項目は、かなり初期の段階で出てきますが、これは、「進行形」や「受動態」のところでも使われます。
「進行形」では「現在分詞」という文法項目が使われ、「受動態」では「過去分詞」という文法項目が使われます。
「現在分詞」や「過去分詞」という文法項目では、「形容詞」や「副詞」といった文法項目が必要となります。
「形容詞」であれば、さらに「限定用法」と「叙述用法」という文法項目につながります。
このような「文法項目の間のつながり」を見いだすように学習していくと、「He is running.」という「現在進行形」の文において、どうして「be動詞」と「現在分詞」が使われるのか、ということがよく理解できます。
逆に、「文法項目」を1つ1つバラバラに学習していくと、その文法項目が「文法の森」の中のどの位置にあり、他の文法項目とどのように関わっているのかが見えません。
そうなると、「文法項目」というものが「やたらたくさんある」という気がしてきてしまい、文法というものが「難しいもの」だと思えてしまいます。
「文法の全体象」を見ようとしながら、文法項目同士のつながりや関わり合いを発見しようとしていけばいくほど、「ああ、文法の森は、思っていた程には広くはないぞ」ということが分かります。
文法を学ぼうとする際は、是非、「全体象」を捉えるようにしながら進めてみましょう。
さて、次回は、「文法」はどこまで学ぶべきか、ということについてお話しします。
どうぞお楽しみに!
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