前回も書いたように、人の頭の機能には、「覚える」「考える」の2つがあります。

「覚える」というのは、「1つの情報を頭に中に入れ、そのままその情報をずっと保持しようとすること」です。

一方、「考える」というのは、「1つの情報ではなく、2つ以上の情報が頭の中でバラバラになっている状態から、それぞれの間にあるつながりを見つけながら、実際に頭の中でそれらをつなげていくこと」です。

前回も書きましたが、「文法が分からない」と訴える人の大半は、「文法書」などに書かれた解説を読んで「考えよう」とするのではなく、「書かれていることをそのまま覚えよう」としている人のようです。

 

本校でも、文法のレッスンをしている生徒のうち、「覚えよう」としているが故に、時間が経っても「分かる」ようにはならないという人が結構います。

そういう人達に共通しているのは、「頭の中がせっかちである」という点です。

「考える」という行為は、上述の通り、「1つ1つの情報を頭の中でつないでいく」という行為です。

例えば、「A」「B」「C」「D」「E」「F」という情報があったとします。

まず、「A→B」の間につながりがあることに「納得」しながら両者をつなげたとしましょう。

そしたら、今度は「B→C」のように、また次のつながりを見いだします。

同じように、「C→D」をつなぎ、次に「D→E」をつなぎ、最後に「E→F」をつなぎます。

このような「一連の流れ」を全体的に見つめ直してみると、「A」からスタートして、最終的に「F」がゴールとなってつながる、ということになります。

これが終わると、たいていの人は「なるほど」という声と共に、全体を1つのものとして「納得」することができます。

何かを「考えていく」ということの先には、「納得」というものがやってくるのです。

 

ところが、頭の中が「せっかち」な人は、こうした1つ1つのつながりを面倒くさがります。

1つ1つのつながりを「納得」もせず、「そういうものだ」と丸暗記しようとします。

ひどい時には、「Aは結局はFってことでしょ?」というように、途中のプロセスをすっ飛ばしてしまいます。

こういう人には「納得」はやってきません。

「納得」がないから、短い時間が経っただけで「忘れた」となってしまうのです。

 

このような「頭の使い方」は、人それぞれの「癖(くせ)」のようなものです。

日本の小学校、中学校、高等学校では、とにかく「覚えなさい」ということが求められます。

大人になって社会に出たら「覚えなさい」よりも「考えなさい」と言われることの方が多いのに、学生時代は「覚えなさい」と言われる。

とってもおかしなことです。

学生であろうと社会人であろうと、「考える」という頭の使い方は、健康な脳を持っていれば誰でもできるはずです。

しかも、「考える」ということを可能にするのは「せっかちを辞めて、頭の中のスピードをゆっくりにする」ということです。

そういう頭の使い方の「癖」を身につけていこうとすれば、誰だろうと「考える」のが上手くなりますし、「文法」だって分かるようになります。

文法が苦手だと言っている人に必要なのは、きっと「頭の使い方の改革」なのだろうと思います。

 

さて、次回は、「文法」を理解していくために必要な「ある能力」について紹介します。
どうぞお楽しみに!

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