「バランス」をとるためには、「真ん中の支点」を挟んで、少なくとも「2つの点」が必要となります。

「2つの点」は、支点を挟んで、たいてい「正反対の位置」に置かれます。

ヤジロベエのように、右と左の両方におもりがあり、それを中心の支点が支えているようなイメージです。

 

例えば、「仕事」をこなしていく上で、「スピード」と「完成度」について考えてみると、この2つは「正反対のもの」であると言えます。

「スピード」を高めようとすれば「完成度」は低くなっていき、逆に、
「完成度」を高めようとすれば「スピード」は低くなっていきます。

「スピード」と「完成度」の2つの観点を「同時に持とう」とすることは、ある意味「矛盾」とも言えますが、「賢い人」は、このような「矛盾」をそのまま丸々受け入れることができます。

そして、「今は、スピードが2、完成度が8、というバランスが良いだろう」とか、「この仕事においては、スピードが7,完成度が3、というバランスで取り組もう」といったように、状況に応じてバランスを変えることができる人は、賢い人であると言えます。

そもそも、「スピードと完成度」のように、正反対の観点を持つことができない人もいます。

そういう人は、きっと「矛盾を受け入れることができない人」なのでしょう。

矛盾を受け入れることができない人は、たいてい「右か左かどちらか1つだけ」や「0か100のどちらか一方」といった具合に、物事への見方が「主観的」であるという傾向があります。

主観的であるが故に「1つの観点して持てない」のです。

そして、1つの観点しか持てない人は、「バランスをとる」ということもまたできません。

客観的に「2つ以上の観点」を同時に持つということができたら、ようやく「バランス」というものについて考えることができるのです。

そして、状況に応じてバランスを変えようと試みることが、その人をさらに「賢い人」へと育ててくれるのだろうと思います。

 

<続く>