「映画を見る」ということは、日本で英語を学ぶ上で、最も有効な学習方法の1つと言えます。

本校では、「映画を見よう」ということを生徒達の指導にも取り入れております。

かくいう私(久末)も、映画は大好きなので、これまでたくさん見てきました。

最近見た映画は「ドリーム」です。

 

<アメブロからの続きはここから>

 

これは2016年に公開されたアメリカ映画で、原題は「Hidden Figures」です。

例によって、私は何の予備知識もなくこの映画を見始めました。「NASA」に関連した話だ、という程度しか知りませんでした。

物語は、1961年の「アメリカ航空宇宙局(NASA)」を舞台にして進んでいきます。

主人公は、NASAで働く3人の黒人の女性達です。

その当時はまだ白人からの黒人差別が根強くあり、主人公の3人を含めた黒人従業員達も不当な扱いを受けている、ということが映画の中の随所に描かれています。

そんな環境においても、自らの知性とプライドを使って様々な問題を克服していく主人公らの活躍ぶりは、見ていてとても心地良いものでした。

与えられた環境が自分にとって苦しいものだったとしても、それを自らの手で動かし、変えていこうとする。本当にすごいなぁ、と思いました。

もちろん、実話に基づいた話ではあっても、それなりに脚色された部分もあるのでしょう。

ですがそれを差し引いても、よくできた映画だなと思いました。

主人公の女性達とは別に、その現場の責任者を演じる「ケビン・コスナー」もまた良い味を出しています。

 

原題の「Hidden Figures」について考えると、「hidden」は「hide(隠す)」の過去分詞であり、「figures」は「人物」あるいは「数字」という意味の名詞です。

これは、「隠された人物達」という意味として捉えると、NASAの現場で名前が表には出なかったけれど裏では活躍した人物達がいる、という意味になります。

一方、映画の中では、NASAがロケットを飛ばし、それを再び大気圏に突入させ、海上の目的の地点に着水させるための「計算」をするのですが、主人公のキャサリンはその計算をたくさんすることになります。そして、有人ロケットを無事に帰還させようと皆が一丸となって取り組んでいる裏で、そういう表に出てこないような「隠された数字」というものがあった、という意味で「Hidden Figures」と言っているとも解釈できます。

つまりこの原題の「Hidden Figures」には、「隠された人物達」と「隠された数字」のダブルミーニングがあると考えられます。映画を見ていく過程でこのことが自然と分かるので、見ている人達は映画を見ていてどこかのタイミングで「なるほど、そういうタイトルね」とニヤリとすることでしょう。(英語が分かる人ならば、ですが。)

 

英語としては、NASAの専門的な用語がたくさん出たり、あるいは、時代背景や南部なまりによって、現代の標準英語とは多少異なる部分もありますが、まあ比較的一般的な英語が使われているように思います。

英語学習としてはあまりおすすめできませんが、映画を楽しむ、という観点で言えば文句なしのオススメ映画です。