「最初」は、英語では「first」という語で表現されます。また、「最初は」は、英語では「at first」「in the beginning」のように表現されます。

first」と「at first」はよく似た表現ですが、「at」の有無によって意味がかなり異なります。どちらも「文の先頭」に置かれ、たいてい直後に「カンマ(,)」が置かれるような形で使われます。

「at」がない方の「first」は、「手順」「段階」を表す場合に使われます。段落の先頭に「First, …」が置かれた場合、これより後の段落の先頭などに「Second, …」や「Third, …」や「Finally, …」のような表現が続きます。この際、「First」は、日本語にした場合には「最初」のようになります。あるいは「最初に」のように「に」という助詞がついたものとして解釈しても構いません。つまり、「最初に、次に、第三に、第四に、最後に」という具合に「手順」や「段階」を表す場合に「at」がつかない「first」が使われるのです。

 

一方、「at」がついた「at first」は、「最初の時点は○○だったけれど、後になって変わった」ということをほのめかす場合に使われます。この場合の「at」は「ある1点」を表し、言い換えれば「他の時点については触れない」ということを表します。このため、「at first」を日本語に訳す際には、「最初」や「最初に」ではなく、「最初」のように「」という助詞をつけると良いでしょう。「」という助詞がつくことで、「最初○○だったけれど、後では違っていた」のように「後になってからの変化」をそれとなくほのめかすことになります。

 

「first」では「手順」が表され、「at first」では「後では違っている」ということが表される、と理解しておくと良いでしょう

 

また、「in the beginning」という表現もあり、「at first」と同じような意味で使われます。つまり、「in the beginning」という表現もまた、「後になってからの変化」をそれとなくほのめかすのです。「in the beginning」の「in」は「ある程度の時間の長さ」が示され、「最初の頃は」のような意味となりますが、多くの場合は「1点」を表す「at first」と置き換え可能です。

 

さらに「at the beginning」という表現もあり、これは「in the beginning」と同等の意味で使われることもありますが、「at the beginning of April(4月の上旬に)」のように、後ろに「of+時期」を添えて表現されることもあります。(「in the beginning」の場合は後ろに「of+時期」を添えることはできません。)

 

「後になってからの変化」をほのめかしながら「最初は」ということを表現したい場合には、「at first」か「in the beginning」を使うようにすると良いでしょう。