「今の教育に欠けているもの」というテーマでいざ考え始めてみると、あまりに多いことに驚きます。

教育、と一言で言っても「年齢」や「学年」によって異なるところがあると思いますので、ざっくり「中学生」「高校生」に絞って考えてみたいと思います。

まず、現役の中学生や高校生達を見ていると、「言葉の扱いが苦手だ」というケースがよく見られるように思います。

「言葉の扱いが苦手」というのは、「インプット」と「アウトプット」の両方です。

【インプット】
・文章を読んで理解する。
・人の話を聞いて一発で理解する。

【アウトプット】
・自分の考えを整理して文章にして書く。
・自分の考えを整理して口頭で人に伝える。

アウトプットに至っては、これが得意な学生に巡り会うのはなかなか稀で、というよりほとんどなく、ほぼ全員の学生がアウトプットが苦手なのではないかと思えてしまうくらいです。

どうしてアウトプットが苦手な学生が多いのか?

それはもちろん、アウトプットの練習をしていないからです。

でも、考えてみると、大人になって社会に出たら、上記のようなアウトプットは求められるでしょうか?

はい、社会に出たことのある人ならば、ほぼ全員が「yes」と答えるはずです。

となれば、なぜ、上記のようなアウトプットを学生達に練習させるようなことをしないのでしょうか?

今の教育に欠けているものには、他にもたくさんあるかもしれませんが、「1つだけ挙げなさい」と言われたならば、私は「自分の考えを、母国語である日本語を使い、言葉を使い、分かりやすい文にしてアウトプットする練習」だと答えます。

このことを「難しいから嫌い」と言っているうちは、「言葉の扱いが苦手」なままの学生を量産してしまいます。

ところが、これを学生達に練習させようとしたとしても、肝心の「大人達」もまた、アウトプットが苦手だったりするのです。

教師だけではありません。
家庭の親達も同様です。

大人達自身が「アウトプットの練習」をしなければ、そのことを学生達や子供達に練習させるのは至難の業です。

逆に言えば、大人達がアウトプットの練習をしていけば、「学生達や子供達に何かを伝える」のもうまくなることでしょう。

学生達や子供達が、仮にアウトプットの練習をし始めたとして、そのことが上手にいかなかった場合でも、大人達が普段からアウトプットの練習をしていれば、アウトプットのやり方についてアドバイスすることもできます。

自分の考えを上手に表現し、人に理解してもらうのが上手な人は、仕事でもプライベートでもいろいろなことが良い方向に進むはず。

逆に自分の考えを表現するのが苦手で、人に理解してもらうのがヘタな人は、仕事もプライベートも、思うように進まない可能性があります。

大人になってから必ず役に立つ能力として、「自分の考えを上手にアウトプットする能力」を、今の教育の現場(学校や家庭)でもっと取り入れる努力をすべきだろうと思います。

英語教育は、ハッキリ言ってその次です。

母国語で自分の考えをまともに表現することができない人が、どうして外国語でそれが可能になるのでしょうか?

外国人を相手に、外国語で自分の意見を伝えようとする前に、母国語話者に対し、母国語で自分の意見を伝えようとすることの方がよほど大事ではないでしょうか。

 

<おしまい>