人に何かを「上手に伝える」ためには、以下のようなことを意識すると良いと思います。

1. 人に伝える前に、自分が持っている情報を整理する。
2. 伝えたい情報を「適切な言葉」や「適切な文」に置き換える。
3. 「2」の内容をどのような「順番」で伝えるべきかを考える。
4. 情報を受け取った相手にとって、自分の伝え方が「わかりやすい」かどうかを確認しながら伝えていく。

 

以下、1つずつ見ていきましょう。

1. 人に伝える前に、自分が持っている情報を整理する。

まずは、自分が持っている情報を「整理する」ということが大事です。

情報を整理せず、「バラバラな情報のまま伝えよう」とすれば、当然、相手は「訳が分からない」と思うことでしょう。

また、人に伝える前に情報を整理すると、「情報が足りない」と気がつくこともあります。

そのことに気づいたならば、「じゃあ、足りない情報をどこかから仕入れてこよう」ということになります。

「情報を仕入れる」という行為は、「インプットする」ということ、あるいは「勉強する」ということです。

一般的に「勉強する」という行為に対して「苦痛である」と感じる人は多いと思いますが、世の中には「自ら進んで勉強に打ち込もう」とする人もいます。

そういう人は、もしかしたら、「人に伝えよう」というアウトプットの行為を念頭に置いているからこそ、勉強というインプットの行為が「苦痛」にならずに済んでいるのかもしれません。

いずれにせよ、人に何かを伝えようとするならば、情報が不足していないかも含め、「自分が持っている情報」を整理するようにしましょう。

2. 伝えたい情報を「適切な言葉」や「適切な文」に置き換える。

自分の頭の中にある情報がきちんと整理され、不足していた情報も補えたならば、今度は、それらを「適切な言葉」や「適切な文」に置き換えていかなくてはなりません。

頭の中の情報は、「言葉」になっていないこともよくあります。

「言葉」ではなく、「ぼんやりとしたイメージ」だったり、「こんな感覚」といったものだったりします。

そういうイメージや感覚を「適切な言葉」に置き換えることができなければ、それらを自分の頭の外に出して人に伝えることはできません。

さらに、「言葉」だけでなく、言葉を並べて「適切な文」にすることも、「上手に伝える」ためには必要です。

「イメージや感覚を言葉にする練習」あるいは「文を作る練習」といったものをたくさん実践している人は、伝えることもだんだん上手になっていきます。

3. 「2」の内容をどのような「順番」で伝えるべきかを考える。

上記の「2」で、せっかく「適切な言葉」や「適切な文」ができたとしても、それらを並べる順番がバラバラだったならば、これも相手にとっては「わかりにくい」ということになってしまいます。

伝えていく「順番」を入れ替えただけで、劇的に分かりやすくなる、というケースはたくさんあります。

特に、「英語」の場合には、「結論の部分を先に伝える」という傾向がよく見られます。

日本人の感覚では、「結論は最後に述べる」というのが自然かもしれませんが、英語の場合は、必ずしも「結論は最後だ」とは限りません。

もちろん、「常に結論を先に言うべきだ」という極端な考え方もよくありません。

上手に伝えるためには、どのような順番で伝えていけば良いか、ケースバイケースで、その都度、考えなくてはならない、ということです。

4. 情報を受け取った相手にとって、自分の伝え方が「わかりやすい」かどうかを確認しながら伝えていく。

これは、コミュニケーションにおいて最も重要な意識の1つと言えますが、「相手側の目線に立つ」ということができなければ、上手に伝えることはできません。

「相手の立場」の目線になるということは、「客観的になる」ということです。

自分が「店の主」だとしたならば、「お客さんの目」を想像しながら伝えていくということです。

そうした「客観性」を持たなければ、自分の目線だけで「わかりやすい」と思ったとしても、結局、相手にとっては「わかりにくい」という事態になってしまいます。

相手に「わかりにくい」と感じさせてしまうということは、言い換えるならば、相手に「この人は何が言いたいんだろう?」と考えさせてしまう、ということです。

相手の方が一生懸命考え、色々と想像し、ようやく「ああ、きっと、こういうことが言いたいのかな」と分かってくれれば良いのですが、いつでも相手がそうやって考えたり想像してくれたりするわけではありません。

情報を伝えようとする自分の方が「相手の立場」となり、「わかりやすいか?」ということを自問しながら説明していけば、その分だけ相手の負担は減ります。

逆に、そうした自問をしない人は、「負担を相手に投げつける」ということを繰り返し行っているということになります。

 

 

「上手に伝える」ということを可能にするには、少なくとも上述の「1〜4」の全てを実践する必要があります。

平たく言えば、「考える」ということをたくさんしながら伝えなくてはならない、ということです。

日頃から、母国語を使って「上手に伝えよう」とする練習を実践していけば、外国語で伝えることも次第に上手くなることでしょう。

英語ができるようになりたいのであれば、まずは母国語で「上手に伝える練習」を意識的にやってみてはいかがでしょうか?

<おしまい>