日本語の文から、関係代名詞を使った英文を作り出す際には、以下の手順で考えていくと良いでしょう。
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1. その日本語の文において、「主語+述語動詞」を含んだかたまり(形容詞節)が「名詞」を修飾していることを確認する。(ただし、「主語」が含まれず、「述語動詞だけ」で「名詞」を修飾していることもある。)
2. 「形容詞節」の部分のみを英語にしてみる。
3. 「形容詞節を除いた部分」を英語にしてみる。
4. 「3」の中にある、「形容詞節に修飾される名詞(先行詞)」がどれであるかを確認する。
5. 「2」で作られた英語表現を、「3」で作られた英文の中の「先行詞」の「後ろ」に置く。
6. 「関係代名詞」を選ぶために、「先行詞」を「人称代名詞」に置き換えてみて、それを「形容詞節」の中に入れ込み「独立した1つの文」を作る、ということを 頭の中で想定してみる。その際の人称代名詞が、「主格」「所有格」「目的格」「独立所有格」のどれになっているかを確認する。
7. 先行詞が「人」または「モノ」のどちらを表す言葉であるかを確認する。
8. 「6」と「7」が確認できたら、以下の関係代名詞の一覧表から関係代名詞を1つ選び、「5」で作られた英文の中で、「先行詞」と「形容詞節」の間に「関係代名詞」を入れる。
関係節内での働き=「主格」 | 関係節内での働き=「所有格」「独立所有格」 | 関係節内での働き=「目的格」 | |
先行詞=「人」 | who | whose | whom |
先行詞=「人以外」 | which | (whose) (of which) |
which |
先行詞=「人・モノの区別なし、あるいは文脈上特定されている語」 | that | — | that |
9. 「6」の手順の際、「先行詞」を「人称代名詞」に置き換え、それを「形容詞節」の中に入れ込み「独立した1つの文」を作る、ということを想定した際に、その人称代名詞が、「動詞の目的語」として機能している場合には、関係代名詞そのものは「省略」されることが多い。
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前回まで、「彼女は彼女のお母さんが作ったパンを売りたがっている。」という日本語の文を使って説明してきました。
そして、上記の手順の「1〜9」を終えた時点で、以下のような英文ができました。
→「She wants to sell bread her mother made.」
本当は「bread」と「her」の間に「which」あるいは「that」という関係代名詞が入るはずですが、上記手順の「9」により、上記の文では省略されています。
さて、これで終わりかと思いきや、まだ、もう1つ、大事な手順があります。
それは……
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10. 「形容詞節によって修飾される名詞」について考えた時、会話や文脈上、それが「特定されている名詞」として解釈されるならば、その名詞の前に「the」をつける。「特定されていない名詞」として解釈されるならば、「可算名詞の単数形」の場合には「a(またはan)」をつける。あるいは、「特定されていない名詞」として解釈され、その名詞が「可算名詞の複数形」や「不可算名詞」の場合には、その名詞の前には何もつけないか、あるいは、「漠然と、全体の一部」であることを示したい場合にはその名詞の前に「some」をつける。
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ふむ。。。 難しいですね。
上記の「彼女は彼女のお母さんが作ったパンを売りたがっている。」の例で考えてみましょう。
「形容詞節によって修飾される名詞」は、この例では「パン」ということになりますね。
まず「パン」というのは英語では「bread」となり、これは「不可算名詞」、つまり「数えることができない名詞」ということになります。
この文が出てくるであろう「会話」や「話の流れ」を想像してみると、彼女のお母さんが既にパンを作り終えていて、そういうパンが既に存在しており、彼女はそのパンを売りたがっている、と考えることができます。
このように解釈したならば、ここでのパンは「特定されているパン」を差していることになりますので、「bread」の前には「the」をつけることになります。
あるいは、別の解釈も可能です。
彼女のお母さんは、ものすごくたくさんのパンを作る人だとしましょう。
彼女のお母さんによってたくさんのパンが作られましたが、彼女は、そのパンの中から、どのパンであるかを特定せず、その中の一部を売りたがっている、というように解釈することもできます。
この解釈の場合には、「bread」の前に「some」をつけることになります。
→「She wants to sell the bread her mother made.」
(世の中にたくさん存在しているパンの中で、彼女のお母さんが作ったパンに特定した上で、それを売りたい、と解釈することができるので、「bread」の前に「the」がついている。)
→「She wants to sell some bread her mother made.」
(彼女のお母さんが作ったたくさんのパンの中から、特に「どれ」とは特定することなく、「全体の一部」から適当に選ばれたパンを売りたい、と解釈することができるので、「bread」の前に「some」がついている。)
さあ、これで文が完成しました!
上記の「1〜10」の全ての手順に従って英文を作っていけば、関係代名詞というものがより深く理解できるようになることでしょう。
では、少し練習してみましょう。
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Q. 関係代名詞を使い、以下の日本語の文を英語に訳しなさい。関係代名詞が省略されるのが一般的な場合には、関係代名詞を省略せずにカッコの中に入れて表記しなさい。また、複数の関係代名詞を使うことが可能な場合には、スラッシュ(/)を使って列記しなさい。
1. これは去年私の父が北海道で撮った写真です。
2. あなたは時には、考え方があなたと異なる人と話すべきだ。
(ヒント:「人」は「someone」としましょう。また「考え方」は「way of thinking」と表現できます。)
3. それは彼らの息子さんが書いた小説の1つです。
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答え合わせは次回にやります。
どうぞお楽しみに!