教師やコーチという仕事は、人に「やり慣れないこと」をさせる仕事と言えます。

自分には慣れていることでも、教わる側の相手は、もちろんそのことには慣れていないのです。

例えば、私は英語を教えています。

英語の発音も教えるし、
英語の文法も教えるし、
英文の作り方も教えるし、
日常生活に英語を取り入れる方法も教えます。

ですが、私が教えている生徒達は、当然、最初に私の教室を訪れる時には、

英語を発音することにも慣れていないし、
英文法に触れることにも慣れていないし、
英文を作ることにも慣れていないし、
日常生活に英語を取り入れることにも慣れていません。

やり慣れている人にとっては「当たり前でカンタン」と思えることでも、
やり慣れていない人にとっては決して「当たり前でカンタン」ではないのです。

ところが、教師やコーチというのは、気がつくと「やり慣れないことをやる」という状況に置かれた人の気持ちを忘れてしまうことがあります。

そこで、私はなるべくいつも、私にとって「やり慣れないこと」を生活の中に取り入れようと努めています。

私が最近やっていることは「左手で箸を持って食べる」ということです。

私は右利きなので、左手で箸を持って食べるということは当然「やり慣れていない」ことになります。

やり慣れていないことを実践していると、そういう状況に置かれた人の気持ちがよく分かります。

ですが、私はまがりなりにも「人に教える人間」です。

やり慣れないことを自分が「克服」していけなければ、どうやって人に「やり慣れないこと」を「克服」するように導くことが出来るのでしょうか。

そういう思いから、私はなんとか「左手で箸を持って食べる」を克服したいと思って、日々奮闘しています。

そんな今の私の課題は「うどん」です(笑)

「うどん」は、利き手と反対の手で箸を持って食べようとすると、ツルツル滑ってうまくいかないのです。

そういう「うまくいかない」という経験こそが、生徒に指導する際にとても大事なんだと思います。