子供の頃、「雪が積もり始める瞬間」を見たくて、ずっと外で地面を見つめていたことがあります。
雪が降り始めて、最初のうちは、雪は地面に到達した途端に消えていきます。
あんなにたくさん降っているのに、まるで地面に吸い込まれていくかのように、雪はどんどん消えていきます。
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「いったい、いつになったら積もり始めるのだろう?」
そう思いながら、子供の頃の私(久末)は、しばらく地面を見つめていました。
しかし、そのうち寒さに負け、家の中に入ってしまいます。
家の中は暖かく、「もう外には出たくない」と思います。
暖かいこたつでテレビを見ているうちに、雪のことなどすっかり忘れてしまいます。
そして、だいぶ時間が経って、急に雪のことを思い出します。
「あ! 雪はどうなった!?」
慌てて外に出てみると、もう雪は積もり始めてしまっていました。
「あ〜、また見逃した!」
当時の私には不思議でならなかったのです。
最初は、雪はどんどん地面に消えていくのに、いつの間にか、溶けずに残る雪の層が出来上がっているのです。
「消えずに残る、最初の1粒の雪が見たい!」
子供の頃の私は、その最初の1粒を見たかったのです。
しかし、いつも寒さに負けて家の中に入っている間に、その最初の1粒を見逃してしまうのです。
雪が積もるには、それなりの時間が必要です。
ちょっと降ってすぐ止んで、何日か経ってからまたちょっと降ってすぐ止んで、という程度では、雪は積もっていきません。
何時間か、ずっと継続して降り続けるからこそ、雪は積もっていくのです。
人が何かを身につけていくのは、これと同じような気がします。
例えば、「英語ができるようになりたい」と思ったとします。
英語ができるようになるためには、何日も、何ヶ月も、ずっと「継続」しなくてはなりません。
ところが、「ちょっと勉強してすぐやめて、何日か(あるいは何ヶ月か)経ってからまたちょっと勉強してすぐやめて」ということを繰り返している人はたくさんいることでしょう。
「ちょっとやって、すぐやめる」を繰り返していると、やめている間に雪はすっかり溶けてしまいます。
何かを身につけようと思って努力し始めたならば、「雪が積もる」まで、雪を降らせ続けなくてはなりません。
「なかなか身につかない」と悩んでいる人は、「雪が積もる」ように取り組んでいるかどうかを自問してみてはいかがでしょうか。
<おしまい>