前回、心の健康を損なわないための対策の1つとして、「集中力を鍛えよう」ということを書きました。

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「集中力」を鍛えていくと、「今のこと」や「これからのこと」に意識を集めることができて、その結果、「忘れるべき過去のこと」を忘れることができます。

「遠い過去」であっても「近い過去」であっても、自己反省を十分した後なのに、いつまでも自分の失敗などを忘れられないでいると、いつまでも次へ進めません。

切り替えて前に進むためには、時には、過去のことを「忘れる」ことが重要なのです。

つまり、「集中力」は「切り替える力」であり、「切り替える力」は「忘れる力」なのです。

忘れることができなくて、過去をいつまでも引きずっていては、心の健康を損ねてしまいかねません。

では、「集中力」というものはいかにして鍛えられるのでしょうか?

まず、

「静かな部屋に一人座り、部屋を暗くして、ろうそく1本に火を灯し、それをじっと見つめ続ける」

などという方法はやめましょう(笑)

もちろん、全く効果がないとは言いませんが、実際に集中力を発揮しなくてはならない時というのは、普通は「静かな部屋に一人で座っている」という状況ではないはずです。

集中力を発揮しなくてはならないのは、普通は、「自分が集中したいのに、それを邪魔するモノがまわりにある時」の方が多いのではないでしょうか?

つまり、「集中しやすい環境」ではなく、「集中しにくい環境」でこそ、集中力が求められるということです。

集中力を鍛える訓練をするのに、「集中しやすい環境」を整えてしまったのでは、いざという時に集中力が発揮できないのではないかと疑ってしまいます。

ということは、逆に、「集中しにくい環境」というものを用意して、その中に身を置いて、敢えて集中しようと試みる、という訓練の方が「負荷」がかかって良いのではないかと思います。

もうかれこれ10年以上前でしょうか。

あるテレビ番組で、小学生の百人一首チャンピオンの女の子について特集を組んでいました。

その女の子は、全国の百人一首大会で何年か連続で優勝しているという、ものすごい子でした(たしか、そんな感じでした、記憶はやや不鮮明ですが。。)

で、その女の子が日頃どのように百人一首のトレーニングをしているのか、番組取材班がその子の家まで行ったのです。

その子の家は料理屋で、街の中華屋さんという感じでした。

ご両親とも店で働いていて、店からは「ラーメン一丁!」とか「ニラレバ上がったよ~」とか、活気あふれる声が聞こえてきます。

店舗と住居が一体となった建物なので、その女の子の部屋にも店からの声が聞こえてきます。

テレビ取材班が、「いつも、どうやって百人一首の練習をしているの?」と尋ねると、その女の子は、「ここ(自分の部屋)でカセットテープを流して練習しています」と答えました。

しかし、部屋の外からは、店の雑音がかなりの大きさで聞こえてきます。

実際、百人一首のカセットテープをかけてみると、外からの音に埋もれて、読み上げられている音声が途切れ途切れしか聞こえません。

取材班は、「こんな状況だと、集中できないんじゃない?」と尋ねたのですが、その女の子は次のように答えました。

『この状況がいいんです。まわりがうるさくてカセットの音がよく聞こえないからこそ、その音を一生懸命聞こうとして集中力が高まるんです。』

私は、その女の子の話を聞いて、えらく感心しました。

日頃から「うるさい環境」の中でトレーニングをしていたからこそ、実際の大会での「静かな環境」での音声は、それはそれは良く聞こえることでしょう。

集中力を高める訓練をするならば、「集中しやすい環境」よりも「なかなか集中できない環境」を敢えて選んだ方が効果があるように思います。

もちろん、「なかなか集中できない環境で集中しようとする」というのは、かなりしんどいです。

しんどいし、辛いし、イライラしてくるし、すぐにやめたくなるかもしれません。

ですが、「人が成長する」ところには、程度の差はあれ、必ず「しんどさ」や「辛さ」や「イライラ」がついてまわるのではないでしょうか。

しんどいな、と感じるレベルは決して高くなくても良いのです。

少しの「負荷」でも良いので、カンタンに集中できるような環境ではなく、少々やりづらい環境を選んで、少しずつ「集中する」ということを練習するのが良いと思います。

そのうち、まわりがガヤガヤしていても、何も苦労なく自分のことだけに集中できる日が来るかもしれません。

そして、集中力が高まれば、「むやみに過去を引きずる」とか「なかなか切り替えられない」ということも減るのではないでしょうか。

是非参考にしてみてください。

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