<前回の続き>

(「発音美人になりましょう!」シリーズの記事一覧はこちら。)

前回、英語の発音美人になるためには、「理屈」と「根気」と「細かさ」が必要だ、と書きました。

本校では、全生徒に発音の「理屈」を教えます。

理屈は言葉にすることができるので、人に伝えることができます。

しかし、「根気」と「細かさ」は、その人自身が自分で持とうとしない限り、いくら周囲の人間が伝えてもダメです。

どんなことであろうと、「根気」を持ってやり抜く、ということは簡単なことではありません。

また、もともとが大ざっぱな性格をしている人にとっては「細かさ」を持って取り組むというのは、もしかしたら「苦痛」以外の何者でもないかもしれません。

例えば、次の文。

I got bad luck.

声に出して読んでみれば分かるかもしれませんが、「got」「bad」「luck」のどれも、母音としては「ア」に近い音です。

しかし、どの「ア」も同じ音ではありません。

どれがどのような音なのか、まずは「発音記号」というものに置き換えると良いでしょう。

発音記号を学ぶというのは、「理屈」と言えます。

「発音記号とスペル」との関係を見いだすこと。

さらに、「発音記号と実際の音」との関係を見いだすこと。

発音記号を「橋渡し」として利用し、「スペルから実際の音に変える」あるいは「実際の音からスペルに変える」ということができれば、正しい音を出すことができるのです。

ところが、そのことを、「頭では分かっている」というレベルでは、正しい発音を出すことはできません。

発音をする、ということは、ある種の「運動をする」ということです。

「喉」を使い、「声帯」を使い、「舌」を使い、「あご」を使い、「唇」を使い、「肺」を使い、そして、「耳」を使う。

これらの身体の器官を十分に連携させながら「音を出す」ということをするわけです。

そして、発音を自分の身体に「定着」させるためには、何度も繰り返し発音してみなくてはなりません。

上述した「理屈」を頭に置きながら、「根気」を持ち、かつ、「細かさ」を持って練習する。

「got」と「bad」と「luck」はどれも違う母音なので、きちんと、その単語の時にはその単語の正しい発音をしなくてはなりません。

ちょっと気を緩めると、「bad」と「luck」が同じ母音になってしまったりするかもしれません。

一つ一つの仕事をきちんとこなす。

それでいて、全体がぎこちなくならないよう、スムーズになるように自分自身をしっかりチェックする。

「理屈」と「根気」と「細かさ」を持って、何度も何度も繰り返す。

そうしたことをやった人だけが、「発音美人」になれるのです。

私も、20歳の頃、一人暮らしのアパートでひたすらこれをやりました。

「アメリカに留学していたから発音がきれいなんだ」と思われがちですが、そうではありません。

私は、日本にいながら、自分1人で、「理屈」と「根気」と「細かさ」を持って、繰り返し練習したのです。

アメリカに留学していた頃の私は、それはもう、まわりのアメリカ人にさんざん発音をバカにされました。

全く通じないという悔しさも経験しました。

アメリカに行けば、自然と発音がキレイになるだなんて嘘です。

英語圏の国や地域に住んでいるだけで発音がキレイになる人は、もともと音に対するセンスがあるのでしょう。

私は違いました。

ですが、そんな私でも、「理屈」と「根気」と「細かさ」を持って練習したことによって、今では、誰もが褒めてくれるほどの発音を身につけることができたのです。

センスのなかった私でもできるようになったのならば、誰でも同じように身につけることができます。

健康な耳と頭があれば、誰だって「理屈」を学ぶことができます。

「根気」だって、誰でも少なからず持っているでしょうから、それを鍛え上げることができます。

「細かさ」だって、そういう意識を持って取り組めば必ずできるようになります。

練習をしている時には「つまらない」とか「苦しい」とか、色々な負の感情が生まれてくることでしょう。

しかし、そういう負の感情に打ち勝つこともまた、人間ならばできるはずです。

「理屈」と「根気」と「細かさ」。

これらを持とうと意識し始めた時、発音美人への道のりが始まるのだろうと思います。


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