<前回の続き>

(「英文法の話」の記事一覧はこちら。)

 

前回、「現在形」という形は、「今、この瞬間」の話をしていない場合にも使われる、と説明しました。

「I drink coffee.」は「今、この瞬間」にコーヒーを飲んでいる、というわけではありません。

「She eats fish.」は「今、この瞬間」に魚を食べている、というわけではないのです。

「現在形」だから「現在」のことを話しているのに、「今、この瞬間」の話を含んでいない、ということなのです。

これは一体、どういうことなのでしょうか?

 

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「現在形」をきちんと理解するためには、「動詞」というものについて理解しなくてはなりません。

「動詞」というのは、英語の品詞の1つです。

これは読んで字の如く、「動き」を表す言葉です。

日本語にも動詞がありますね。

例えば、「走る」とか「食べる」とか「作る」とか「投げる」とか。

これらはどれも「動き」を表します。

英語では、「run(走る)」「eat(食べる)」「make(作る)」「throw(投げる)」のようになります。

英語の世界には、「動作」ではなく、「状態」を表す動詞というものもあるのですが、今回は「動作」を表す動詞だけを考えて説明します。

 

「動作」を表す動詞は、普通、1つの動作につき、ある程度の「時間」がかかりますね。

例えば「make」ならば、何を作るかにもよりますが、一瞬ではなく、数分とか、数十分とか、数時間とか、あるいは数日やそれ以上、時間がかかってしまうのが普通です。

ここで、「その動作を始める瞬間」と「その動作が終わる瞬間」の2つの瞬間に着目してみましょう。

仮に「砂場で砂のお城を作る」という場面を想像してみます。

「砂のお城を作る」という動作を始める瞬間があり、また、その動作が終わる瞬間があります。

動作を始める瞬間よりも「前」の時点では、砂場にはお城はありません。

そして、動作を始めた瞬間から、少しずつ、砂のお城が出来上がっていきます。

お城が出来上がるには、どれくらい時間がかかるでしょう?

おそらく、数十分から数時間はかかるでしょうか。

「make」という動作をしている「最中」は、常に「変化」が生じています。

そして、ようやく、お城が完成したとします。

つまり「make」という動作が終わった瞬間がやってきたのです。

動作が終わった瞬間よりも「後」には、砂場には「砂のお城」が存在していることになります。

 

まとめると、次のようになります。

1. 動作を始める前:砂場にお城はない。

2. 動作を始めた瞬間:お城が作られ始めた。

3. 動作をしている最中:お城がどんどん作られている。変化が生じている。

4. 動作が終わった瞬間:お城が完成した。

5. 動作が終わった後:お城が存在している。

このように「動作」というものは、「1. 動作が始まる前」と「5. 動作が終わった後」とで、何かしらの「状態の変化」を生じさせることになります。

「動作」というものは、上記の「2」と「3」と「4」の部分のことであり、そこには常に「始まる瞬間」と「終わる瞬間」があるのです。

そして、「動作が始まり、動作が終わる」という部分を、「1つの動作」としてカウントすることができますね。

つまり、「動作」というものは、1つ、2つ、と数えていくことができるということです。

 

さて、ここで「現在形」の話に戻りましょう。

「現在形」というのは、「現在」、つまり「今」のことを表す場合に使われる形です。

「今」というのは、「今、この瞬間」という狭い意味で捉えた場合と、「日常」という広い意味で捉えた場合の2つに分けて考えることができます。

「run(走る)」「eat(食べる)」「make(作る)」「throw(投げる)」などのように、「動作」を表す動詞を使って「現在形」の文が作られた場合には、それは「今、この瞬間」を含まず、「毎日」や「毎週」といった「日常」のことを表すのが普通です。

それは、「ある動作を1回行う」のではなく、「日常的に、何回も繰り返す」という意味になるからです。

「I run before breakfast.」という文があったとします。

日本語に訳すならば「私は朝食前に走ります。」となります。

これは、「走り始める瞬間から走り終える瞬間までを1回」としてカウントし、その動作を日常的に何度も繰り返す、ということなのです。

決して、この文を話している時点で「走っている最中です」という意味にはならないのです。

あるいは、「She makes sandwiches.」という文があったとします。

これも同様で、「サンドウィッチを作り始める瞬間から作り終える瞬間までを1回」としてカウントし、その動作を日常的に繰り返す、ということです。

つまり、「動作」を表す動詞が「現在形」になった場合は、普通は「1回」ではなく、「日常的に何度も行う」という意味で使われるのです。

 

さて、ここまで読んで頂いた皆さんに、問題を出しましょう。

以下の英文はどのような意味になるでしょうか?

(1) My sister doesn’t cook.

(2) We play tennis.

(3) He cleans his room by himself.

(4) I use a computer.

(5) You spend a lot of money on clothes.

(6) My parents go to church.

(7) They sell books.

(8) Do you drive?

(9) The lady sits on the porch.

(10) We don’t lock the door.

 

さあ、いかがでしょうか?

どれも「現在形」の表現ですが、「今、この瞬間」の話をしているものは1つもありません。

いずれも「日常的に、繰り返し行う」という意味で使われているのです。

なぜならば、上記のどの文においても、「動作」を表す動詞が使われているからです。

このように、「現在形」でありながら、「今、この瞬間」を含まない場合がある、ということを覚えておくと、より自然な英文を作ることができるようになるでしょう。

 

さて、次回は、同じ現在形でも、「今、この瞬間」を含むような場合について説明しますね。

どうぞお楽しみに!


 

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