<前回の続き>
(「英文法の話」の記事一覧はこちら。)
前回、「現在形」という形が「今、この瞬間」を含まないような表現についてご紹介しました。
「She teaches mathematics.」という文ならば、「彼女は、今、この瞬間に、数学を教えている」という意味にはなりません。
この文では「日常的に、同じ動作を繰り返す」という意味となるため、「今、この瞬間にその動作をしている」という意味にはならないのです。
ところが、同じ「現在形」という形でも、「今、この瞬間」の話を含んでいるような表現もあり得ます。
今回は、そのような表現についてご紹介します。
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前回もご説明しましたが、「動詞」は普通は「動作」を表しますね。
ところが、動詞は「動作」だけを表すとは限りません。
英語の世界に存在する数多くの動詞の中には、「動作」を表さないものもあるのです。
例えば、皆さんもよくご存じの「have」という動詞。
これは、普通は「動作」を表しません。
では何を表すかと言えば、それは「状態」を表しているのです。
「動作」という言葉と、「状態」という言葉。
この2つは同じではありませんね?
「動作」というのは、前回もご紹介したように、「その動作を始める瞬間」と「その動作が終わる瞬間」の2つの瞬間があり、その動作の「前」と「後」とで、「状態を変化させる」という特徴があります。
これに対して「状態」はどうでしょう?
「状態」というものは、ず〜っと同じように続いている様子のことです。
「部屋が散らかっている。」という文があったとしたならば、それは「状態」を表していると言えます。
この状態を変化させるのは「動作」というものです。
「片付ける」とか「整理する」といった「動作」が入り込むと、「部屋が散らかっている」という状態から、「部屋が整頓されている」という状態へと変化します。
そして、「部屋が整頓されている」という状態は、また次の動作(たとえば、「散らかす」など)が入るまでは「継続」すると言えます。
話を戻しますが、「have」というのは、動詞でありながら、「状態」を表す動詞なのです。
「状態」を表すので、「持つ」というよりは、「持っている」という日本語に訳した方が適切です。
例えば、「I have a car.」という文があったとしましょう。
この文を日本語に訳すならば、「私は車を持っている。」となります。
これを「私は車を持つ。」としてしまうと、だいぶ意味が違ってきます。
「have」は継続的な「状態」を表す動詞ですので、「持っている」と訳さなくては意味が異なってしまうのです。
この文の「have」は「現在形」です。
つまり「今」のことを表しています。
「今、車を持っている」ということは、過去のどこかで「車を手に入れる」という動作があったということです。
「車を手に入れた瞬間」があり、その時点から「have」が始まります。
そして、いつの日か、自分の車が、自分の手元からなくなってしまう日がくることでしょう。
「売る」とか「捨てる」とか「壊す」とか「あげる」とか。
そのような「動作」によって、もはや所有していない状態へと変化する日が来ます。
「have」という動詞は、「手に入れた瞬間から始まって、手放す瞬間まで、ずっと持続して持っている」という意味なのです。
「動作」を表す動詞と違い、「始まった瞬間から終わる瞬間まで」の間には、「変化」がありません。
「動作」を表す動詞の場合は、「始まった瞬間から、どんどん変化が起こっていく」という特徴がありました。
しかし、「have」のように「状態」を表す動詞は、「始まった瞬間から、終わる瞬間まで」の間には、変化が起きないのです。
そして、そういった「状態」を表す動詞が「現在形」となった時には、「今、この瞬間も、その状態が継続している」ということを表します。
従って、「I have a car.」という文を誰かが言った時には、その文を言っている瞬間(=今、この瞬間)にも、その人は車を所有しているのです。
「状態」を表す動詞には、以下のようなものがあります。
・live「住んでいる」
・like「好んでいる」
・love「愛している/大好きである」
・know「知っている/分かっている」
・hate「毛嫌いしている、嫌っている」
・want「欲しがっている/強く求めている/強く望んでいる」
・see「見えている」
他にもありますが、これらは「動作」を表す動詞とは違う、ということです。
上記の動詞が「現在形」で使われる場合には、「動作」ではなく「状態」を表しますので、「今、この瞬間」のことを話していることになるのです。
(A) She eats fish.
(B) She likes fish.
どちらも同じ「現在形」の文ですが、(A)では「今、この瞬間」の話は含まれていませんが、(B)では「今、この瞬間」の話を含んでいるということです。
動詞によっては、「動作」と「状態」の両方を表すことのできる動詞もありますので注意が必要ですが、基本的には「この動詞はどちらを表すのだろう?」と考えて区別していくと良いでしょう。
さて、次回は、以上の話を踏まえた上で、「現在進行形」というものについて考えてみたいと思います。
どうぞお楽しみに!
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