昨日のつづき>

昨日は「秩序はエネルギーが均衡した状態」で「混沌はエネルギーが消失した状態」と書きました。

つまり「秩序→混沌」という変化には「エネルギーの消失」がもたらされ、
「混沌→秩序」という変化には「エネルギーの生産」が必要になる、ということです。

勉強をしていたり、仕事をしていたりして、「どうにもうまくいかない!」という状況になることは誰にでもありますね。

勉強や仕事を「始める前」の状態というのは、いわば「無」の状態とも言えます。

「無」の状態から何かを始めていくと、少しずつ「個」が増え、いつしか「集団」となります。

勉強や仕事で言えば、新たな「知識」や「情報」というものが「個」であると言えます。

そういう「個」が増えていき、「集団」を形成していくと、最初は「混沌」の状態になります。

初級者や初心者は、たいてい最初に「混沌」の状態に陥るものです。

しかし、初級者や初心者は、「混沌」の状態になることをはじめから覚悟していることが多いのではないでしょうか。

だから、「最初は大変」ということを自覚しながらも、「エネルギー」を自家発電しながら、その事に向かって突き進むことができます。

やがて、自家発電した「エネルギー」を使って、最初の「混沌」とした状態が、少しずつ「秩序」へと向かって行きます。

勉強や仕事で言えば「なんとなく分かってきた」という時期です。

この時期に入ると、自分がやっていることを理解できているので、勉強や仕事について「やっていて楽しい」とすら感じることもあります。

ところが!

一度は「秩序」の安定期に入ったものの、そのままの状態がずっと続くとは限りません。

勉強や仕事を続けていく、ということは、引き続き、集団を形成する「個」を増やしていく、ということになります。

新たな「知識」や「情報」などが、経験と共に増えていきます。

そうすると、一度は出来上がった「秩序」にも変化が生じます。

それは、たとえていうならば「ジグソーパズル」のようなものです。

最初は、1つもピースがない状態から始まります。

勉強や仕事を始めると同時に、1つずつ、知識や情報といった「ピース」が増えていきます。

最初はピースが増えていくだけなので、「混沌」とした状態があります。

しかし「混沌」とした状態を本来好まない人間は、その増えてきた「ピース」を他のピースとつなげ合わせ、全体で1つの「絵」にしていきます。

そして、あらかたのピースを使って1つの「絵」が完成したとしたら、それが「秩序」の状態と言えます。

ここで終わればよいのですが、勉強や仕事を続けていくうちに、新たな「ピース」が増えていきます。

仮に最初に出来上がった秩序というものが「1000ピース」のジグソーパズルだったとします。

「1000ピース」を使って1つの秩序が出来上がっているところに、追加で新たなピースが入ってきます。

仮に、「500ピース」が追加されたとします。

本当は「秩序」を保ったままで「500ピース」を追加していくことができれば良いのですが、「1000ピースの秩序」に「500ピース」は入ることができません。

「1000ピースの秩序」には、「1000ピース」しか入ることのできない「枠」というものが既に出来上がってしまっているのです。

そこに無理矢理「500ピース」を追加で入れようとすると、「1000ピースの秩序」が壊れてしまうことがあります。

これは俗に言う「スランプ」というものに通じます。

いったん出来上がった秩序に対し、さらに向上心を持って新たな知識や情報を入れようとした時に、既に出来上がっていた秩序を壊してしまうのです。

そうなると、「1000+500」の合計「1500ピース」が、まるでバラバラとなった「混沌」の状態に陥ってしまいます。

「500ピース」を入れようとする前には、全体への理解もあり、バランスも良く、やっていることが楽しいとさえ感じていたのに、「500ピース」を追加しようとしたとたん、全体への理解も、バランスも、楽しいという感じすら、無くなってしまうのです。

では「1500ピースの混沌」の状態に陥ってしまったらどうすれば良いでしょうか。

前回もご紹介した通り、「混沌」の状態に陥った人間に与えられた選択肢は3つのみです。

1.混沌とした状態から離れる。
2.混沌とした状態にいながら、秩序へと向かう努力をする。
3.混沌とした状態にいながら、秩序へ向かうことを諦める。

ここで「2」を選択した人だけが、次の秩序へと向かうための「エネルギー」を自家発電することができるのです。

そして、新たに生み出されたエネルギーを使って、「1500ピース」をまた最初から組み直し、つなぎ合わせていくと、いつか必ず「1500ピースの秩序」というものが出来上がります。

この「1500ピースの秩序」というものは、その前にあった「1000ピースの秩序」よりも遥かにレベルが上です。

本当ならば「1000ピースの秩序」の状態から、一度も混沌とした状態にならずに「1500ピースの秩序」へと変化させることができれば良いのですが、「成長」というものには、必ずこの「秩序→混沌→秩序」というプロセスがつきものなのです。

だから、勉強や仕事をしていて、「なんだか、前まで分かっていたことがわからなくなった」というような状況に陥って困っている人がいたとしたなら、それは「1000ピースの秩序」から、さらに上のレベルへ向けて、新たな知識や情報を獲得した、ということになるのです。

そして、新たな知識や情報を獲得したことによって、元々あった「秩序」が、「一時的」に壊れてしまっているにすぎないのです。

ここで取るべき選択肢は、「混沌とした場から離れる」でもなく、「混沌とした状態にいながら、秩序へ向かうことを諦める」でもありません。

「混沌とした状態にいながら、秩序へと向かう努力をする。」ということを選択した人だけが、「さらにレベルアップした秩序」というものを手にすることが出来るのです。

このことは、勉強や仕事だけの話ではありません。

スポーツや趣味、あるいは人間関係の形成についても同じ事が言えます。

「前まではうまく行っていたけれど、なんだかダメになってしまった」というのは「レベルダウン」ではなく、あくまでも「レベルアップの前兆」なのです。

大事なのは「必ず、再び秩序を取り戻すことができる!」と自分自身に言い聞かせるこ
とだと思います。

つづく