昨日のつづき>

「秩序」と「混沌」という難しい言葉を使って「人の成長」について考察していこう、という趣旨で書き始めたこのコーナー。

今日で3日目です。(まだ最初の記事を読んでいない方はこちらからじっくりどうぞ!)

昨日は「混沌」とした状態にあるからこそ、「秩序へのエネルギー」を生み出すことができる、ということを書きました。

「混沌」から「秩序」へ向かおうとする時、人は「新たなエネルギー」を生み出します。

「混沌とした状態」そのものは、決して「好ましいもの」ではないかもしれませんが、「新たなエネルギーが生み出されている」ということに関して言えば、それはむしろ「好ましいこと」と言えるでしょう。

「新たなエネルギー」が生み出されている時は、人は「活気」や「意欲」に満ちています。

ところが、「新たなエネルギー」が生み出されず、「活気」や「意欲」が消えてしまう時が、いつかやってきます。

それは一度「秩序」の状態になった後で、しばらくの時間が過ぎたころです。

これは、俗に「マンネリ」と呼ばれます。

「秩序」の状態というのは、平和で、安定した状態と言えます。

この時、秩序を保っている「集団」の中には、「新たなエネルギーが生まれている」というよりは、「秩序を保つための最低限のエネルギーが使われている」と考えられます。

人は、平和で安定した「秩序」の状態の中にいることを好みますが、その状態の中に長くいると、「新しくエネルギーを生み出そう」という意欲がだんだん失われていくことがあります。

エネルギーを新たに生みだそうとしないでいると、そのうち、その「秩序」を維持するためのエネルギーですら尽きてしまったりします。

そうすると、「外部からの、より強力なエネルギー」がぶつかってきた時に、簡単に秩序が崩れてしまったりします。

「秩序」の中に置かれた人が自らの意志で「新たなエネルギー」を生みだそうとすることは、とても難しいことです。

「秩序」の状態にいるわけですから、そのことに既に「満足」してしまっている自分がいるわけです。

人は「満足」している時や「平和」な時には、一生懸命何かを考えたり生みだそうとしたりはしません。

人が何かを考えたり、生みだそうとするのは、「その必要がある」からです。

「秩序」の状態に置かれると、そういう「生み出す必要性」がなくなってしまうため、そのための「エネルギー」を新たに生み出す必要もなくなってしまうのです。

では、「秩序」の状態に置かれ、新たなエネルギーが生まれてこない「マンネリ」の状態に陥った場合、どうすれば良いのでしょうか?

「マンネリ」の状態は、一見「秩序」の状態に見えますが、今にも崩れてしまいそうな不安定な状態とも言えるのです。

「マンネリ」の状態を打ち破り、新たなエネルギーを生み出していくには、以下の2つが重要と思われます。

1.既に秩序の状態にあるところに、「新たな要素(個)」を追加していく。

2.既に秩序の状態となっている集団の中の「個」に対し、「尊敬」や「感謝」や「愛情」などといった「プラスの思い」を再認識してみる。

まず「1」について考えてみましょう。

「マンネリ」ということは、「新たな要素がない状態」と言えます。

そこへ、新たな要素(個)を増やす努力をしていけば、それは前回お話しした「ジグソーパズルのピースを1000から1500に増やす」ということに通じます。

新たな要素を増やそうとすれば、おのずと、一度は「秩序」が崩れます。

しかし、その秩序の崩壊は、「さらにレベルの高い秩序」への序章とも言えるのです。

マンネリを解消していき、新たなエネルギーを生み出すためには、少しくらい「秩序を壊す」という覚悟を持ちながら、新たな要素を増やす努力をしてみると良いでしょう。

例えば、長年連れ添っていている夫婦が、ほとんど日常的に会話もなく、ただ同じ毎日を繰り返していたとします。

そんな「マンネリ夫婦」でも、新たに「ペット」としてイヌを飼い始めた途端、夫婦の会話が増えた、なんてことはよくあることです。

マンネリなのは「新しい要素(個)」が増えていかないからです。

新しい要素が増えてくれば、自然と「今までの形(秩序)」は崩れます。

しかし、「今までの形(秩序)」が崩れても、そこには新しく秩序を生みだそうというエネルギーが沸いてくるということも事実なのです。

従って、「マンネリ」を解消するには、まず、

1.既に秩序の状態にあるところに、「新たな要素(個)」を追加していく

ということを実践してみると良いでしょう。

ところが、そうは言っても、「新たな要素を増やし続けていく」にも限界があります。

そこで「新たな要素」を増やさなくても、「秩序」を保っていくことのできる秘訣があります。

それが、

2.既に秩序の状態となっている集団の中の「個」に対し、「尊敬」や「感謝」や「愛情」などといった「プラスの思い」を再認識してみる

ということなのです。

世の中には、新しい要素(個)が増えているように見えない集団でも、「秩序」の状態が長続きしていることがあります。

毎日、新しいことは何もないのに、決して「マンネリ」にならず、うまく「秩序」を保っている集団もあるのですね。

そういう集団を観察してみると、そこには、お互いの「個」に対する「尊敬」や「感謝」や「愛情」などの「プラスの思い」があふれています。

うまく行っている夫婦、うまく行っている会社の上司と部下、うまく行っているチームメイト達、うまく行っている恋人達など、「うまく行っている」という状態が長続きしているところには、必ず「尊敬」や「感謝」や「愛情」があるのです。

逆に「尊敬」や「感謝」や「愛情」といったものが見られない集団は、ちょっとしたことですぐに「秩序」が乱れ、「混沌」とした状態になってしまいます。

とは言え、平和で安定した「秩序」の中にいるうちに、だんだん同じ集団の中にいる別の「個」に対して、「尊敬」や「感謝」や「愛情」といった「プラスの思い」が弱まってしまうことは誰にでもあります。

とくに、人は自分との距離が近い「個」に対しては、「プラスの思い