話し上手になりたい。
私は常日頃からそう思っていますが、同じように思う人も多いのではないでしょうか。
どうすれば話し上手になれるのか、話し上手の人達の共通のルールはなんだろうか、ということを探っていくこのコーナー。
前回は「相手への優しさ」を高めることで、「別の言葉で繰り返す練習の機会」を増やすことができるのではないか、と書きました。
今日はその続きです。
話し上手と言われている人は、たいてい「頭がいい」と人に感じさせます。
しかし、「頭がいい人」が全て話し上手であるわけではありません。
豊富な「知識」があるにも関わらず、「何を言っているのかわからない」と人に感じさせてしまう人は結構多いのではないでしょうか。
いわゆる「博学」な人というのは、たくさんの事を知っていたり、たくさんの言葉を知っていたりします。
しかし、「難しい言葉」や「専門用語」などを「易しい言葉」に置き換えることなく、そのまま遠慮なしに使って表現したのでは、聞いている人は「わからん」と感じてしまうことでしょう。
これは前回の「優しさ」に通じる話なのですが、「難しい言葉」を使って人に話をしてみて、それで相手が「わからない」と言ってきた時にどうするか、によって「話し上手」となれるかなれないかが分かれます。
相手が「わからない」と言ってくる原因としては、もちろん、相手側の「知識が足りない」ということが1つ挙げられます。
しかし、それが全ての原因ではありません。
「知識」というものだけで人の能力を測り知ることはできません。
ある言葉をAさんは知っていて、Bさんは知らなかった、だからAさんの方が能力が高い、と決めつけることなどできませんね。
人が一生のうちに学ぶことができる「知識」には限界があります。
ある分野の言葉は豊富に知っていても、別の分野になるとほとんど知らなかったり、というのが普通誰にでも当てはまるものです。
「難しい言葉」や「専門用語」というものは、「相手を見てから選んで使う」のが正しい使い方と言えます。
ところが、「優しさ」が足りなく、自分の知識の豊富さというものに絶対的な価値基準を置いてしまうと、極端な場合は「こんなに難しい言葉を知っている自分はえらい、知らないお前はバカだ」というように偏った評価をするようになってしまいます。
ここまで極端でなくても、「こんなことも知らないのか?」と相手の無知を馬鹿にしたりする人ほど、「難しい言葉」をそのまま使ってしまう傾向があるようです。
しかし、「本当に頭のいい人」というのは、「難しい言葉」をそのまま使ったりしません。
話をしている相手が、たとえば自分と同じ専門家だったりして、「難しい言葉」でもきちんと意思疎通ができるなら、そのまま使えば良いでしょう。
しかし、相手をよく観察し、「この言葉では、この人には通じないかもしれないな」と判断したなら、「もっと易しい言葉に置き換えよう」と考えるべきです。
相手を観察し、相手に合わせて「難しい言葉」を適宜「易しい言葉」に置き換えられる人は話し上手と言えますね。
「難しい言葉」をたくさん知っていることを自慢し、相手の「無知」をバカにする人は、決して話し上手ではありません。
さて、「難しい言葉」をそのまま使ってしまうのは、何も「豊富な知識」がある人ばかりではありません。
職場や生活環境の中で、周囲の人達が「難しい言葉」を使うのが常となっているような場合に、それに合わせて無理矢理自分も「難しい言葉」を使わなくてはならない、という人もいます。
そういう場合でも、いざ、私生活などで人に自分の仕事のことを話そうとすると、そのまま「難しい言葉」を使ってしまって、相手に「よくわからん」と言われてしまうこともあります。
豊富な知識があって、そのことを自慢したがるような人だけでなく、
環境で普段使う言葉がそもそも難しく、それに慣れてしまっている人も同じ。
どちらにしても、「話を聞いている相手にとって、その言葉が難しいかどうかをその都度判断する」ということがとても大事なのですね。
これを怠っている人は、たいてい「話し上手」ではありません。
そして、「相手にとって、この言葉は難しいかな」と想像することができたら、今度はそれを「易しい言葉」に置き換える、ということをしなくてはならないのです。
そういうことを、話をしながら、自分の頭の中で「考える」ということを常にしている人は、だんだん「話し上手」になっていくのではないでしょうか。
難しい言葉をそのまま相手にぶつけ、相手に負担を与えるのか。
難しい言葉を易しい言葉に置き換え、その負担を自分が受けてから相手に伝えるのか。
「難しい言葉」を扱う以上、「話し手」か「聞き手」のどちらかが「負担」を受ける必要があります。
先に自分が負担を受けておいてあげれば、相手への負担は減りますね。
それが「話し上手」となるためのルールの1つなのではないか、と思う今日この頃です。
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