日本人が英単語を覚えようとする時、当然、「日本語」に置き換えて覚えることでしょう。
しかし、単に「日本語」に置き換えてしまうと、その英単語の「本来の意味」が失われてしまうことがあります。
英単語の「本来の意味」がよく見えるような日本語に訳しておくと、実際に英語で文を作ろうとする時にとても役に立ちます。
さて、今日は「listen」という言葉について考えてみましょう。
多くの日本人が「listen」を「聞く」あるいは「聴く」という日本語に訳しがちです。
しかし、「聞く」や「聴く」としてしまうと、英文にする際に困ったことが起きます。
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「listen」は、英文においては「自動詞」として機能するのが基本です。
「自動詞」ということは、つまり、「後ろには目的語を伴わずに機能する」ということです。
日本語で「聞く」や「聴く」と表現してしまうと、これらは「他動詞」となります。
日本語における「他動詞」は、「〜を」という言葉を伴って表現することができます。
「彼の話を聞く」や「音楽を聴く」といった具合です。
「listen」を「聞く」や「聴く」という日本語に置き換えてしまうと、次のような間違いを犯す可能性が出てきます。
■「彼の話を聞く」→「listen his story」(×)
■「音楽を聴く」→「listen music」(×)
これらは、中学1年生などの英語初学者がよくやってしまう間違いです。
では、正しい英語はどうなるのでしょうか?
正しくは、以下のようになります。
■「彼の話を聞く」→「listen to his story」(○)
■「音楽を聴く」→「listen to music」(○)
このように、正しくは、間に「to」が必要となるのです。
この「to」は、一体どういう意味でくっついてくるのでしょうか?
「to」と言えば、「go to school」などのように「方向」を表す場合に使われますね。
しかし、「聞く」や「聴く」という日本語では、「to」という言葉とのつながりがよく見えません。
そこで、「listen」という言葉そのもの日本語訳を変えてみるのです。
「listen」は、「耳を傾ける」や「耳を向ける」というのが「本来の意味」となります。
人が、意識をもって、ある方向に「耳を傾ける」という場合に「listen」が使われるのです。
そうすると、「to」という言葉とのつながりも見やすくなります。
「to」は、やはり本来の「〜の方に」という方向の意味を表しているのです。
つまり、「listen to A」という表現は、「Aに耳を傾ける」や「Aの方に耳を向ける」という意味になるのです。
「listen to A」という表現の「A」の部分には、「人」を表す言葉が入ることもあります。
例えば「Please listen to me.」という具合です。
この場合は、「私の方に耳を傾けてください。」という意味であり、つまりは「私の話を聞いてください。」という意味になるのです。
◎まとめ
「listen」は「聞く」や「聴く」ではなく、「耳を傾ける」や「耳を向ける」という日本語として覚えておくと良いでしょう。「listen」に続く「to」は「方向」を表し、「〜に」や「〜の方に」という意味になります。